保険大激変 損保の構造的課題が生保にも飛び火!#31Photo by Akio Fujita

募集人の数が1年で3倍に急増している乗り合い代理店クリイト。募集人を拠点ごと引き抜かれた多くの代理店から怨嗟の声が漏れる。保険業法で禁じられる「再委託」に抵触する可能性のある別法人設立が囁かれるが、実態はどうなのか。特集『保険大激変』の#31では、クリイト幹部に法人設立について話を聞いた。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

募集人引き抜きで急拡大中のクリイト
たった1年で人員が3倍に増加

「また、拠点丸ごと募集人が引き抜かれたらしいよ」「またか! 募集人の採用でも、あそこと競合になるとほとんど勝てないよな……」

 ここ最近、乗り合い代理店の社長たちが顔を合わせるたびに、話題に上る代理店がある。それが、大阪市淀川区に本社を置く、乗り合い代理店クリイトだ。

 クリイトは、2020年8月に設立されたばかりの新しい代理店だが、下表にある通り、代理店に所属する人数の増加率ランキングで断トツだ。

 この数には募集人以外の社員も一部含まれているが、クリイトの人数はこの1年で実に約3倍に増えており、他代理店に比べて突出していることが見て取れる。

 コツコツと募集人を増やしていくだけで到達する数字とは言い難い。冒頭の代理店主の会話にあるように、ライバル代理店の拠点を丸ごと引き抜く“荒業”の結果といえよう。

 では、どういう手法で募集人を増やしているのか。クリイトの採用ページには「(募集人に支払う)手数料率は日本トップクラスの水準」と書かれており、募集人の手取りが多いことをうたっている。だが、そこにはからくりがあった。次ページでは、クリイト幹部の話を元に中身を詳述しよう。