この発起人は佐藤一彦氏。安倍元首相と同郷であり、拉致被害者を救う会でも行動を共にしたことで交流があり、銅像建立を思い立ったという人物だが、実はこの佐藤氏にはもうひとつ顔がある。それは「安倍神像神社」の宮司だ。

「えっ!そんな神社があるの?」と驚く人もいらっしゃるだろうが、長野県下伊那郡阿南町というかなり山深いところに確かに存在している。

 御祭神は安倍晋三大人命(あべしんぞう うしのみこと)。本殿内にはご本尊として、「安倍晋三坐像」が安置されている。これは硫黄島を訪問した安倍元首相が、英霊がまだいたるところに眠っていることを知り、踏みつけては申し訳ないと膝をついて手を合わせたという逸話をもとに制作されたものだ。この他にも天之御中主神、高御産巣日神など十七神を祀っている。

安倍神像神社に安置された「安倍晋三坐像」安倍神像神社に安置された「安倍晋三坐像」 提供=筆者
安倍神像神社の祭壇に祀られた安倍晋三元首相の肖像写真安倍神像神社の祭壇に祀られた安倍晋三元首相の肖像写真 提供=筆者
安倍神像神社の鳥居安倍神像神社の鳥居 提供=筆者

 佐藤氏は大阪府警の警察官として多くの事件に関わった後、退職後に宮司の道を志して、世界遺産でもある奈良県吉野町の吉水神社や勝手神社で宮司を務めた。そして2022年、親交のあった安倍元首相が凶弾に倒れた。その魂を鎮めたいという強い思いから、安倍氏を祀る神社を建立したというわけだ。