営業利益は運輸が同0.6%増の1432億円、不動産・ホテルが同17.0%減の478億円、流通・サービスが同12.5%増の312億円、その他が同26.6%増の89億円だ。同様に運輸セグメントを比較すると、JR西日本は同18.0%、JR東海の運輸セグメントは同25.5%の大幅な増益となっており、利益を伸ばせなかったJR東日本と差がついた形だ。
今後の収益源として注力している不動産・ホテルは増収減益となった。エキナカ店舗の好調、前年度に子会社化したイギリス自動販売機運営会社「Decorum Vending」の平年度化で増収増益となった流通・サービスでは支え切れず、営業利益は減益となった。
修繕費の大幅な増加が
鉄道事業の足かせに
改めて鉄道事業にフォーカスすると、新幹線の運輸収入が同5.5%増の3020億円、在来線定期が同1.6%増の2088億円、在来線定期外が同4.6%増の4049億円だった。単体の営業収益は前年比1251億円増(4.8%増)の1兆756億円ながら、営業費が同516億円増(6.2%増)の8817億円だった。
東海道・山陽新幹線と比べて回復が遅かった新幹線の復調は明るいニュースであるが、増収が増益につながっていないのは厳しい。鉄道は固定費の比率が高く、本来であれば増収は増益、減収は減益に直結するが、営業費の増加が鉄道の増益を上回った格好だ。
主要因はコロナ禍で先送りしていた修繕の再開で、物価高の影響もあり修繕費が同135億円(11.6%増)となった。だが、これは一時的なものであり、中期的には平準化していく。同社は2027年度までに鉄道事業のオペレーションコストを2019年度比で1000億円削減することを目指しており、現時点で達成が見込めるとしている。
コスト削減に関係して今回、明らかになったのは次世代改札の方向性と狙いだ。同社は昨年12月に発表した「Suica Renaissance」で、「改札はタッチするという当たり前を超える」として、タッチせずに改札を通過できる「ウォークスルー改札」、改札機がない駅での「位置情報等を活用した改札」の実現を目指すとしていた。







