子育てでゼロヒャク思考が強くなると、少しでも理想とする親像に当てはまらないことがあると、自分を責め、自信をなくしてしまったりすることになりかねません。また、子どもに対しても完璧を求めてしまい、自分も子どももつらい思いをする可能性があります。

将来を悲観的に決めつける
フォーチュンテリング

 フォーチュンテリング(fortune telling)とは、「予言」や「占い」を意味します。精神医学の領域では、ささいな出来事をきっかけに、まだ起こっていない将来のことを悲観的に決めつけたりすることを指します。

 多くの親は、子どもには将来、できるだけ幸せで豊かな人生を送ってほしいと望んでいると思いますが、それが高じて、将来についての不安をどんどん先取りしてしまうことも多いのではないでしょうか。

「学校でプログラミングの授業が始まったから、早いうちからプログラミング教室に行かせないと、将来受験の時に困るのではないか」「学校でなかなかお友達ができないみたいだけれど、このままだと将来就職して会社でやっていけないのではないか」など、心配は尽きなくなります。

 しかし、どんなに心配をしても、将来何が起こるのかは誰にも予想することはできないのです。また、子どもはどんどん変わるもので、一時は心配をしていたことが数年後になんでもなくなっていることもあります。

 そして、勝手な未来予知に心をとらわれすぎると、「私は/子どもは何をしたいのか」「何をしていると幸せを感じるのか」をないがしろにし、「将来が不安だから、○○をやっておかなくては」「○○をやらせなくては」と、本人が望まないことを押し付けてしまうことにもつながる可能性があります。

心を読みすぎてしまう
マインドリーディング

 マインドリーディング(mind reading)とは、相手の胸の内を勝手に想像して、「この人はこう思っているに違いない」と決めつけてしまうことです。

 先ほどの、電車の中で抱っこしている子どもがぐずった時に、目の前の人が黙って席を立ち、別の車両に移っていった例も、「心の読みすぎ」に陥りやすいシチュエーションです。