飲酒事故は2001年に2万5400件もあったのですが、2002年には2万331件まで減少し、翌年にはさらに減り、1万6376件になります。2年間で9000件以上、飲酒事故が少なくなったのです。2006年から2007年にかけては、1万1626件から7561件となり、やはり1年で4000件以上減っています。
飲酒による死亡事故は2001年の1191件から、2002年には1000件、2003年には781件になり、2年間で400件以上減少しています。2006年から2007年にかけては、611件から433件と180件近く減っています。いったい何があったのでしょうか。
世論と法律を通じて
飲酒運転は厳罰化された
共通するのは、いずれの年でも件数の減る前に、世のなかを騒がせた飲酒運転の事故が起き、件数の減った年に飲酒運転を厳罰化する法改正があったことです。つまり、事故により飲酒運転に対する責任の強化を訴える世論が起こり、その後、厳罰化という形で実際の責任が強化されたのです。
2000年4月、神奈川県座間市で飲酒運転の車が大学生2人をはねて即死させました。当時の交通事故による死傷事故は、業務上過失致死傷罪で処理されていました。この決定に対し異を唱えたのが犠牲になった大学生の母親です。
母親は「窃盗罪(10年以下の懲役)より軽い業務上過失致死傷罪(5年以下の懲役)で処理されるのはおかしい」と不服を訴え、法改正を求める署名活動をしました。署名の効果もあり、2001年12月には改正刑法が施行され、「危険運転致死傷罪」が新設されました。
この法の成立により、故意に危険な運転を行い、その結果、人を死傷させたものは、行為の危険性に応じて、暴行による傷害罪・傷害致死罪に準じた重大な罪を犯したとして処罰されるようになりました。
2006年8月には、福岡市で飲酒運転の車が乗用車に追突し、同乗していた3人の子どもが亡くなるという事故が起きました。居酒屋・スナックで飲酒を重ねた加害者が幼い3人の命を奪った事故への反響は大きく、マスメディアでも注目されます。







