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「自由に決めていい」と言われるほど、なぜか不安になる。現代社会では、選択の自由が与えられても、多くの人が「人の目」や「エビデンス」を気にして決められなくなっている。やりたいことよりも“迷惑をかけないこと”を優先し、ランキングやデータにすがって安心を得ようとするのはなぜなのか。社会学者・石田光規氏が、私たちの“自由”を縛る見えない構造を読み解く。※本稿は、社会学者の石田光規『自己決定の落とし穴』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

自己決定は周りからの承認と
密接な関係がある

 私たちが人生で経験するさまざまな物事は、選択の結果として周りから評価されます。

 記号化された日常生活は、数多くの評価を経験する生活でもあるのです。

 私たちは日々の格好から進路・結婚まで、大小さまざまな場面で選択と決定を迫られます。生活の折々で、周りの人から見定められる状況はとても疲れることでしょう。

 このように考えると、自己決定は、周りからの承認と密接な関連をもつことがわかります。私たちが行うさまざまな決定は、周りからの承認を得られることで初めて「安心できる決定」になるのです。

「自分のことを自分で決める」と言っても、純粋に自分だけで完結する行為は、そう多くありません。たいていの物事は、周りの人とも関わりをもちます。とくに日本人は周りの人の目を気にする性質をもっています。図3をご覧ください。

図3同書より転載 拡大画像表示