SWISSセンスとは、同社が2025年秋から最新鋭のエアバスA350-900を計10機導入するのをきっかけに、全面的に刷新した客室サービスのコンセプトを指す。新機材が初就航するのは米ボストン線であり、日本に就航するかは未定だが、今回の搭乗では一部で始まったSWISSセンスを楽しむことができた。
ウェルカムドリンクは「ジャカール」のシャンパンだ。デビーCAが「このシャンパンは、スイスの山の冷たい水を連想させるような清々しい味わいが特徴です」と紹介してくれた。単に銘柄の情報を伝えるのではなく、感覚的な表現を添えたのは、さすがだなと思った。マニュアルを超えた、個人のセンスによる「おもてなし」である。
「1-2-2」と「2-2-1」が列ごと交互に配置
メリットとデメリットは?
今回乗った飛行機は、ボーイング777-300ER型機だった。長距離路線の花形機であり、客室内は広さに余裕がある。一世代前の機材であることから、ビジネスクラスのシート配置は他のキャリアには見られないユニークさがあった。
「1-2-2」と「2-2-1」が列ごと交互に配置される、変則的なレイアウトだ。このメリットは、窓側の1席配置となる通称“王様席”で最も得られる(ただし追加料金が必要)。この席は左右に広々としていて、他社の配列では得られない圧倒的な幅と解放感があり、快適レベルが高い。また、窓側の2席は隣席の距離が近く、カップルや夫婦にはとても良いだろう。
一方、デメリットもある。ビジネスクラスの最新トレンドは「1-2-1」の配列であり、どの席も直接通路に出ることができる。このタイプと比べてしまうと、見劣りがするのは事実だ。例えば、キャセイパシフィック航空の新しいA350や、カタール航空の「Qスイート」のような、仕切りのある個室型シートと比べると、隣客や通路からの視線が気になった。また、窓側の2席は、ひとり客×2の場合は窓側客が通路側客を乗り越えて通路に出なければならない。
日本と欧州を結ぶエアラインは日系、中東系を含め現在17社ある。SWISS以外で現在も1-2-1以外のシート配列なのは、残すところ数社だ。SWISSも前述した最新鋭機が日本就航すれば、1-2-1配列になるのもそう遠くないだろう。
SWISSの現在のフラッグシップ機であるボーイング777-300ER Photo by Koji Kitajima
ビジネスクラスの中央部。広々としており左右に余裕がある Photo by Koji Kitajima
窓側ひとりの“王様席”はプライベート感もばっちり Photo by Koji Kitajima
自席から眺めた空の様子 Photo by Koji Kitajima







