親からの過度な心配は、子どもにとっては、
「お母さん(お父さん)は、僕(私)のことを信じていないんだ」
「僕(私)は、親を不安にさせるダメな子なんだ」
「僕(私)が失敗したら、お母さん(お父さん)をがっかりさせてしまう」
という、「不信」と「プレッシャー」以外の何物でもありません。
親が「大丈夫?」「勉強したの?」「集中しなさい」と声をかければかけるほど、子は「自分は信頼されていない」と感じ、自己肯定感を下げていきます。そして、その重圧に耐えかねて、やる気を失うか、反発するか、あるいは親の顔色ばかりうかがうようになってしまうのです。
考えてみてください。もしあなたが仕事で大事なプレゼンを控えているとき、上司から毎日「準備できてる?」「失敗しないでよ」「君に任せて本当に大丈夫かなぁ」と、心配という名の圧力をかけられて、最高のパフォーマンスが発揮できるでしょうか?
きっと萎縮してしまい、本来持っている力の半分も出せなくなってしまうはずです。子どもにとっての受験も、これと全く同じ構造です。
親の本当の役割は「心配」ではなく
「安心」の土台作り
では、親は一体どうすればいいのでしょうか。
私がお伝えしているのは、親の役割は心配することではなく、子どもが安心して自分の力を最大限に発揮できる環境(土台)を整えること、ただそれだけということです。ここでいう土台とは、2つの側面があります。
1つは、物理的な環境です。これは多くの親御さんがすでに実践されていることですが、栄養のある温かい食事を用意すること、ゆっくりと体を休められる睡眠環境を整えること、体調管理に気を配ることなどです。
ただし、「しなければならない」と親が義務感でピリピリしては逆効果です。「これを飲めば頭が良くなる」といった高価なサプリメントや特別な夜食よりも、家族が穏やかな表情で囲むいつもの食卓の方が、子どもの力になります。
2つ目は、精神的な環境です。子ではなく、親自身が不安やイライラを募らせていないか、ということです。親が「受からなかったらどうしよう」などと不安に飲み込まれていると、家庭内に伝染します。子は、親の不安を敏感に感じ取ります。
親がすべきことは、親自身が「ご機儀」でいることに尽きます。親が自分の楽しみや癒やしの時間を大切にし、趣味の時間を少しでも持つ、美味しいコーヒーを1杯飲む、友人と(受験以外)の話で笑うなど、親自身が精神的に安定していることが何より重要です。
「お母さん(お父さん)は、あなたのことを信じているから、いつも通り過ごしているよ」という安定した姿を見せることこそ、子どもにとって何よりの安心材料になるのです。







