なぜ不安になるのか?
それは「課題の分離」ができていないから
それでも不安が拭えない、つい口出ししてしまうという親御さんは、アドラー心理学「課題の分離」ができていない可能性が非常に高いです。
課題の分離とは、「その課題の最終的な責任を負うのは誰か?」を見極めることです。受験でいえば、勉強するかしないか、集中するかしないか、どの学校を選ぶか、試験で実力を発揮できるか、その結果(合格・不合格)を引き受けるか――。これらは全て、「子の課題」です。親の課題ではありません。
では、親の課題は何かというと、安心できる環境を整えることであり、必要な時に必要なサポート(金銭的・物理的支援)をすることです。
多くの親御さんが苦しくなるのは、子の課題に土足で踏み込み、あたかも親自身の課題であるかのように背負い込んでしまうからです。あるいは、「親子の課題」と混濁するケースもあるでしょう。
「うちの子が不合格だったら、私が恥ずかしい」
「私の育て方が間違っていたと言われる」
「私はこんなに頑張っているのに、あの子は応えてくれない」
これらは子の人生と親の人生を分離できていない証拠です。「受からなかったらどうしよう」という親の不安は、子の課題を横取りし、子が自分で乗り越えるべきハードルを、親が先回りして片付けようとする行為です。それは子の成長機会を奪うことにもつながります。
受験シーズンを乗り切るために
親がすべき唯一のこと
受験シーズン本番に親が「どうしよう」と不安に駆られたら、深呼吸して、自分にこう問いかけてみてください。
「今、私は『子の課題』に踏み込んでいないか?」
「私のこの心配は、本当に子のためになっているか?」
そして、もし口出ししたくなったら、そのエネルギーを子ではなく、「自分の課題」に向けてください。
「うるさく言ってしまいそうだから、ちょっと散歩に行ってこよう」(自分のご機嫌取り)
「子供を信じて、温かいお茶でも淹れよう」(安心の土台作り)
「受験料の振り込み、忘れないようにしよう」(親本来のタスク)
受験の結果は、子の人生の一部ではありますが、全てではありません。そして何より、親の課題ではありません。
親にできる唯一にして最大、そして最も難しいサポートは、「あなたが自分の力を発揮できると信じている」というメッセージを、態度(言葉ではなく)で示し続けることです。
親は心配を手放し、安心の土台になりましょう。それが、子の心を潰すような毒親にならないためにも絶対に必要な、受験シーズンの乗り越え方と言えるでしょう。








