2013年4月19日、ネット選挙運動解禁法案が可決され、「インターネットを利用した選挙運動」が正式に解禁になった。そのネット選挙が初めて実践されるのが、第23回参議院議員選挙だ。各政党は新しい選挙運動のツールとして現れたネットを前に、試行錯誤を始めている。ネット選挙が解禁された効用はさまざまあるが、その一つに「地盤、看板(知名度)、鞄(お金)」がなくても、十分に戦っていけるのではないかという点がある。とりわけ、ネットは利用にコストがかからないため、3つ目の「鞄(お金)」は劇的に少なくて済む可能性が指摘されている。自民党比例区から立候補する伊藤ようすけ氏は、今のところネットのみで選挙戦を戦うと宣言している。ネット選挙のどのような点にチャンスを感じ、どのような戦術で臨むのか。伊藤氏の野望を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

何度聞かれたか分かりません
『支持母体はどこですか』って

――自民党から公認を得て、ネットでの政治活動を開始していると思いますが、ここまでで、選挙戦に向けた手応えなど感じられましたか?

いとう・ようすけ
1963年8月、大阪市生まれ。作家。自民党公認候補として、全国比例代表として出馬予定。88年慶応義塾大学理工学部卒業後、山一証券へ入社。同社在籍中に秋元康氏のプロデュースにより『シャインズ』としてデビュー。その後、森永製菓へ転職。広告部でCM制作、マーケティングに従事。新ユニット『東京プリン』を結成し、再デビュー。代表曲「携帯哀歌」は日本有線大賞音楽賞を受賞。2010年、森永製菓退社。その後は執筆活動に専念。
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 手応えですか……、『自信のほどは?』とか、よく聞かれるんですが、いずれもないですね、いまのところ。まだ、よくわかりません。

――選挙で勝つには「地盤、看板(知名度)、鞄(選挙資金)」が必要だと言われます。伊藤さんは、いずれも際立ったものがないですよね。そこで、ネットを駆使して戦うと言われていますが、具体的にどのように選挙戦を戦うのか、改めてお教えください。

 僕にはネットで戦っていくという方法しかないわけです。基本的にはフェイスブックとツイッターなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用していくことになります。あと、いまも行なっているんですが、ツイキャスによる配信です。1週間に1度、基本的に日曜日の23時から一週間の活動のまとめをニコ生とユーストで配信しています。

 こういうツールで自分の考えを有権者の方に訴えていきたい。でも、実際に公認を受けるまで、さっきおっしゃった「地盤・看板・鞄」が必要だって、世の中の人は本当に思っているんだって言うことを思い知らされましたよ。だって、何度聞かれたかわかりませんもん、「支持母体はどこですか」って。

 特に政治家の先輩方からは本当によく支持母体について聞かれました。それで、僕には無いっていうことを言って、僕なりの選挙の戦い方を説明していました。そうしたら、大先輩からははっきりと「君は、お試しだな」って言われちゃいました。

――それ、だれに言われたんですか?

 先輩議員です。いや、言えないですよ、名前は。でもはっきりとトライアルだって言われました。そう言われても、僕は僕のやり方を引っ込めるっていうことはまったく考えませんでした。逆に「トライアルでも、やってやろう」っていう気になりましたよ。