「このコンテンツには、出演者個人の経験に基づく意見や見解が含まれます。漫才というエンターテインメント、パフォーマンスの性格上、それらに一部誇張やオーバーな表現が含まれます。漫才で演じられるキャラクターは、あくまで本人たちの創作であり、必ずしも本人の実際の思想、信条と一致するものではありません」

 漫才を見るうえでは当たり前のことが書かれているが、現在ではSNSの発達により誰かを傷つけること=悪との風潮で、炎上のリスクを伴う。こちらも現在の地上波では難しい。

 そして尺の問題だ。ダウンタウンプラスでは1本の動画が15分程度という短さで、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する現代のユーザーに最適化されている。一方で、現在の地上波、特に深夜番組は人気を博して時間帯が昇格すると、尺が引き伸ばされて面白さが薄れてしまう番組も多い。松本も生配信で「テレビは長いときあるもんね。水増しする必要はない」と話しており、ダウンタウンプラスのコンテンツは多くが20〜25分ほど。松本が思い出の街をめぐる「ノスタル10分」は、タイトル通り10分ほどで見終わるコンテンツだ。

 若い人だけでなく、いまや多くの人がYouTubeやショートコンテンツの長さに慣れている。視聴者が求める時間でコンテンツを収めるのは、地上波では実現しにくいものだっただろう。

 またタイパに配慮しながらも、タイトにまとめたものだけでなく、ギョーザを包みながらゲストととりとめもないトークをする「7:3トーク」のような“ゆるい”コンテンツも存在する。

 コンテンツ全般は現在のところ「大爆笑して誰かに絶対シェアしなきゃ」というよりも「ゆるやかに、なんとなく面白い」というかつて地上波の深夜番組が持っていたような空気感をまとっているように感じた。

 ダウンタウンプラスを料理にたとえると他所行きの外食ではなく、家庭料理だ。豪華なフレンチや、行列のできるラーメン店の写真はSNSでシェアしたくなる。しかし、家で食べる美味しい肉じゃがや味噌汁は手がこんでいたとしても、わざわざ写真に撮ってアップする人は少ない。でも、毎日食べたいのは間違いなく後者だ。このためSNSで熱狂から来るバズは起きていないが、松本人志の笑いのファンたちが加入し、じっくり楽しんでいるのではないだろうか。