まず3団体はそれぞれ、メディア関係者主体、自動車学術者主体、自動車ジャーナリスト主体と、団体の構成者に大きな違いがある。

 JCOTYは、自動車雑誌やウェブ媒体など40弱のメディア、上限60人の選考委員で構成される。今回、フォレスターが評価されたポイントは冒頭で述べた通り。

 一方、自動車学術者を中心としたJAHFAは、N-ONE e:の受賞理由を「日常生活で安心して乗れる軽EVとして十分な航続距離がある」「レトロとモダンを融合した優れたデザイン」「軽ながら安全運転支援機能も充実している」などと総評している。

なぜ「ぜんぜん違う3台」が選ばれたの?「今年のカーオブザイヤー」の選考にモヤモヤする理由ホンダHPより

 他方、自動車ジャーナリスト主体のRJCは、ルークス/eKスペース・デリカミニの受賞理由を、「軽スーパーハイトワゴンの視界や利便性の良さを高めながら、低燃費や上質な走行性能を実現している」「内外装にそれぞれ独自の仕様を盛り込むことで、日産と三菱自の合弁会社が企画し、日産が開発したひとつのプラットフォームから、個性的な3車種を誕生させた」と総評している。

なぜ「ぜんぜん違う3台」が選ばれたの?「今年のカーオブザイヤー」の選考にモヤモヤする理由日産HPより
なぜ「ぜんぜん違う3台」が選ばれたの?「今年のカーオブザイヤー」の選考にモヤモヤする理由三菱自動車HPより
なぜ「ぜんぜん違う3台」が選ばれたの?「今年のカーオブザイヤー」の選考にモヤモヤする理由三菱自動車HPより

 なお、JAHFAとRJCは、国産車と輸入車を分けている。JAHFAの輸入車のイヤー賞は、独フォルクスワーゲンの「ID.Buzz」。RJCの同賞は中国BYDの「シーライオン7」が受賞した。

 JCOTYは、10ベストカーから最高得点の新型車がイヤー賞となるが、国産車が受賞した場合は、「インポートカーイヤー賞」というのを輸入車の最高得点車から選ぶ。今年は結果的にID.Buzzだった。

なぜ「ぜんぜん違う3台」が選ばれたの?「今年のカーオブザイヤー」の選考にモヤモヤする理由フォルクスワーゲンHPより

 こうしてまとめると各団体がいかに、それぞれ独自の解釈で選定しているかが、よく分かる。軽のEVが選ばれた一方で、実用性の高いストロングハイブリッド車が選ばれたことからも、電動車に対する評価は多様化している。