BBB=「Buy・Build・Borrow」のフレームワーク
スキルベースでの調達が日本よりも先行している欧米――その欧米を中心に使われているフレームワークのひとつが、「3B」または「BBB」と呼ばれるものです。日本ではまだ馴染みのない言葉ですが、「Buy・Build・Borrow」の3つの単語の頭文字からなる言葉です。アカデミアの世界では、BuildではなくMakeが使われることが多いですが、本稿では、既に海外で広く使われているBuildを使用します。書籍『Build, Borrow, or Buy: Solving the Growth Dilemma』 (*4)でも説明されている事業開発におけるフレームワークが、人材ポートフォリオ戦略においても活用されるようになりました。
企業が事業開発に取り組む際、その事業に必要なリソースを企業が全て保有している場合には「Build(作る)」で内製化できます。一方で、必要なリソースの一部を保有していない場合は「Borrow(借りる)」を活用し、アライアンスやジョイントベンチャーなどを検討することが必要です。そして、必要なリソースの一部、または大半を保有していない場合は「Buy(買う)」を選択し、M&Aなどによって外部からリソースを獲得する必要がある、というものです。
もともとは、事業開発のフレームワークである「BBB」ですが、欧米ではこの考え方を人事領域に応用する企業が増えています。ここでは、人事領域で「3つのB」が何を意味するかを見ていきます。
まず、多くの企業にとって最大級の人事課題と言えるのが「Buy = 採用」です。そして、リスキリングを含む中長期的な戦力確保の観点から、いままで以上に注目されているのが「Build = 育成」です。このふたつは、まさに従来の人材ポートフォリオ戦略そのもので、目新しいものではありません。
それでは、人事における「Borrow(借りる)」とは何でしょうか。もともとは「(雇用に限らず)外部人材の力を借りる」という意味で使われていましたが、最近では社内副業・兼業のような部署の枠を越えて借りるケースのことも指すようになってきています。いずれにせよ、人事領域の「Borrow(借りる)」とは、「Buy = 採用」するか、「Build = 育成」するかの二択ではなく、社内外を問わず、必要なスキルを柔軟に借りてくることを指します。
*4 『Build, Borrow, or Buy: Solving the Growth Dilemma』by Laurence Capron and Will Mitchell







