いちばん身近な社外人材“アルムナイ”の活用を

 今後、企業が、“タスクとスキルの可視化と明文化”を進めていく流れは間違いなく進むと思われます。また、副業やフリーランス人材の活用のさらなる広がりに合わせて、受け入れる企業側の心理的ハードルは下がっていくと考えられます。ただし、どちらも段階的に進むもので、まだ時間がかかるでしょう。だからといって、社内の人材・スキルに対する需要は待ってくれることはなく、「Buy = 採用」と「Build = 育成」で充足させられないのであれば、「Borrow=借りる」を進める必要があることに変わりはありません。

 そこで、企業が目を向けているのが、身近な人材から「Borrow」することです。ひとつめは、社内副業・兼業など、部署などの枠を越えて社内の人材のスキルを借りてくることです。特に、事業開発やITスキルなど、事業や部署を跨いでも汎用的に適用できるスキルのニーズは少なくありません。共通言語が通用する社員であれば、一部曖昧な部分が残るタスクやスキルも社外からの副業・フリーランス人材よりは理解がしやすく、「Borrow」のハードルが低くなるため、社内での貸し借りが進みます。ふたつめは、自社のアルムナイのスキルを借りてくることです。社員同様に、共通言語やカルチャー理解を活かし、ある一定の曖昧さなどは吸収しながらも、社外の新しい視点を持ち込んでくれることがアルムナイの魅力です。社員の「Borrow」よりは心理的ハードルが高くなることもありますが、外部の副業・フリーランス人材よりは圧倒的に心理的ハードルが低くなります。外部の副業・フリーランス人材の「Borrow」に着手できていない企業、または、取り組んでいるがうまくいっていない企業は、いちばん身近な人材である社員の「Borrow」、そして、いちばん身近な社外人材であるアルムナイの「Borrow」――このふたつを試してみてはいかがでしょうか。アルムナイは、日本企業が「BBB」の一角である「Borrow」を本格的に進め、人材ポートフォリオを最適化するうえで、重要なカギになるはずです。