全般的に「頭を使う仕事の方が、体を動かす仕事よりも、資本による代替が進みやすい」と坂本氏は言う。設備投資効果が高いからだ。
頭を使う職業の方が人件費は高い上に、代替するのは生成AIやクラウドサービスなどで比較的安価だ。体を動かす仕事で人の代替に導入されるロボットなどのハードウエアはより高価で、投資効率が低くなりがちだ。
労働需給の見通しも重要だ。例えば、介護福祉産業の業務は現状では賃金水準が低いが、需要は今後ますます伸びていき、人材不足への対応として今後は待遇が大幅に改善されていくだろう。
同産業はAIなどの導入により省力化を進めていかないと、人件費高騰に伴って利益縮小を余儀なくされる。高齢化が進む日本社会も立ち行かなくなる。イノベーションが強く求められることから、チャンスの多い産業ともいえる。
株式市場は就職先選びにも
有効な情報を提供している
こうしたデータ分析を個人で実施し、仕事選びで活用するのはなかなか難しい。そこで参考にしたいのが、株式市場だ。そこでは多くの投資家が主に「持続的に成長する企業はどこか」を業績データなどに基づいて分析・評価している。概してその結果として企業の価値である「時価総額」が決まる。
企業業績は属する産業の影響を大きく受けるから、同一業界で企業の時価総額を比較してみよう。
例えば図表2は、食品業界での時価総額ベスト10だ。本誌では2年前も同じ業界の順位を掲載しているが、大きな差はない。株式市場は総じて長期で企業を評価しているのだ。メディアなどのウェブサイトで無料で調べることができる。
株式市場の信頼性を担保する制度は、いろいろな形で就職先選びに有効な情報を提供している。










