図表1を、まずは「AIや機械に代替されやすい職種」から見ていこう。体を使う仕事(ブルーカラーと表現)では、配達、倉庫作業、清掃、電話交換などがある。今日すでに自動倉庫や掃除ロボット、自動音声ガイダンスは稼働しており、今後さらに進むだろう。
頭を使う仕事(ホワイトカラーと表現)で代替されやすいのは、会計・経理、薬剤師業務、一般事務などだ。
「会計関連業務は、近年ⅠT活用で大幅に省力化され、該当部署について人員を縮減しようとしている企業もある。AIの進歩で、今後は公認会計士や税理士も安穏としてはいられない時代になるかもしれない」と坂本氏は予想する。
薬剤師も、処方箋の電子化やオンライン診療等により調剤の自動化が進み、現状ほどの多人数は要らなくなるだろう。
では「AIや機械に代替されにくい仕事」は何か。体を使う仕事では、まず看護師や保育士の業務だ。人との面前での関わり合いが多く、臨機応変の対応が不可欠で、ロボットでの代替が難しいからだ。
介護業務は二分されて「介護記録やケアプラン作成などに比べて、食事、入浴、排せつ介助など直接介助の領域はDX(デジタルトランスフォーメーション)による自動化が進みにくい」(坂本氏)。
建設業務は大規模土木など一部でロボット化が進んでも、一品一様の内装施工などは機械での代替は困難だ。技術者や職人の腕で差別化が図られる分野は人の仕事が残るだろう。
頭を使う仕事で代替されにくいのは、研究開発、建築設計、経営企画、ソフトウエア技術職、塾講師、教員などが挙げられる。ポイントは二つあり、一つは人とのコミュニケーションが多い職種。もう一つのポイントは、DⅩを推進する側、つまりAIなどを開発したり使いこなしたりする業務だ。
営業職の中で代替されにくいのは
顧客とのコミュニケーションが必要なもの
文系学生の進路に多い営業職は、代替されやすい営業とされにくい営業が共にある。顧客とのコミュニケーションの中でニーズをつかんで、企画を立て提案していくタイプの営業は残る。また、住宅など販売金額が大きな商材は心情的なやりとりが重要なので代替されにくいだろう。
一方、汎用品や規格品のセールスはEC(電子商取引)に置き換えられており、今後も自動化が進んでいくとみられる。







