企業の人的資本経営への本気度は
どこで測ればいいのか?

 上場企業は、財務など経営状況を法に基づいて開示する「有価証券報告書」に、人的資本(人材育成方針や社内環境整備)や多様性(男女間賃金格差、女性管理職比率、男性育児休業取得率)についての情報開示が義務付けられている。

 下の図表1に有価証券報告書のどこをチェックすればいいのか、注目すべき箇所を記した。

 日本生産性本部は、東証プライム上場企業の有価証券報告書の記載内容を集計し、分析している。

 2025年3月末の集計(社数1104社)を2年前と比較すると、女性管理職比率5%未満の会社は48.2%から40.8%に減少し、男性育児休業取得率は33.5%から62.9%に上昇。男女間賃金格差もわずかながら改善している。

 人的資本経営の取り組みの本気度を見るには、就職志望会社のこれらの数値が他社と比べて優位か、あるいは過去と比べて改善しているかなどをチェックするといい。

「産休・育休を経て職場復帰し、子育てをしながら勤務する女性従業員が管理職として登用され、活躍できる会社ということは、誰にとっても働きやすく、公平な評価がされる会社であるということ。D&Iが進んでいる企業は、売上高に占めるイノベーション売上高の比率が高いという研究結果も確認されている」と前田氏は言う。

 さらに、人材計画、リスキリング制度、外国籍従業員比率、公募制度など人事に関する多くの情報を自主的に開示している企業もある。

「施策の列挙やインプット指標(研修時間、取得率等)は増えたが、アウトカム(生産性向上、離職率の低下、収益との因果)や目標・期限・責任体制まで一貫して示せている企業はまだ少数」(前田氏)だが、具体的数値を公表する企業の方が本気度はより高いといえるだろう。