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*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2026」の「人的資本経営の実践」を転載したものです。

法に基づく公開情報は公平性を担保する貴重な資料。有価証券報告書の「人的資本経営」情報は就活生必見だ。投資家が参考にする第三者機関による公開情報の分析も就職先の選別基準として役立てたい。(取材・文/嶺 竜一)

なぜ今「人的資本経営」の実践が
重要視されているのか?

「人的資本経営」という言葉を聞いたことがあるだろうか。近年、日本企業が注力する経営のあり方で、政府も政策で後押ししている。

 人的資本経営とは、従業員を「費用」ではなく「資本」と捉え、経営戦略・投資・ガバナンス・開示を通じてその人的資本の価値を最大化し、企業価値と社会的価値の両立を図る経営だ。官民が推進する背景は主に二つある。

 一つ目は、企業価値創造の源泉が、機械などの有形資産から知的財産などの無形資産へ移行し、無形資産は人によってもたらされることだ。

 二つ目は、日本の人口構造だ。少子高齢化による働き手不足で人材の希少性が高まっている。有力人材は、採用だけでなく、育てて生かすことで確保する必要がある。採用・育成への投資は強化されている。

 したがって、人的資本経営は、就職先を選ぶ重要なポイントとなる。

 この視点から「有力候補を見つけるには、経営戦略と人材戦略の連動、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)施策、従業員エンゲージメントの向上、時間や場所にとらわれない働き方の推奨、リスキリングの機会提供といった要素を見極めることだ」と日本生産性本部の執行役員、前田貴規氏は指摘する。

 人的資本経営は、従業員と企業の双方に意義がある。

「教育で従業員の能力を開発し、IT活用や働き方改革で無駄を省き、従業員満足やエンゲージメントを高く保てると、従業員の生産性が上がる。その結果、企業の収益性も高まる」(前田氏)からだ。

 では、どのように企業の人的資本経営への本気度を見たらいいのか。