【物流】
効率化を基軸とした変革が進む

 ドライバーの働き方の見直しによる人手不足、いわゆる「2024年問題」を受け、物流の効率化を促す法改正が進行中だ。荷主(荷物を送る側・受け取る側)双方に「物流効率化の努力義務」が課され、荷待ち時間や荷役等時間の短縮に向けた取り組みが義務付けられた(下図参照)。

 代表的な施策として、パレット輸送や予約受付の導入、リードタイム(受注から納品までの余裕期間)の確保などが挙げられる。

物流構造の変化で
メーカーにも改革の動き

 一定規模以上の荷主には中長期計画の作成と報告義務が課され、対応が不十分な場合は国からの勧告・命令も想定される。2026年以降は「物流統括管理者」の設置が義務化される予定だ。特定荷主に対して物流の効率化に関する義務が課されるため、「2026年問題」ともいわれる。

 物流の負荷軽減に向け、生産拠点の分散化を進めるメーカーもある。複数拠点で中間製品を生産・保管し、地域ごとに最終加工を行うモデルが拡大する兆しがある。

 今後は、法制度の変化や全体最適の概念を理解できる人材が求められる。加えて、AI・ロボット・デジタル管理に精通し、経営・法務・国際貿易などを横断的に理解できる人材も必要になる。

(東京海洋大学 学術研究院流通情報工学部門教授 黒川久幸氏への取材を基に構成)