預金残高が10%以上も
増えた「驚異の銀行」は?
次に、「仕入れ」に当たる預金と譲渡性預金の合計額を各行別に算出し、24年9月末時点の残高比の伸び率順に並べ替えたランキングを作成した[図表2]。既述のとおり、青森みちのく銀行は24年9月末時点の残高が確認できないため、欄外とした。
昨年3月の日本銀行(日銀)のマイナス金利政策解除・金融政策正常化は、地銀・第二地銀を含む各金融機関の預金への取組姿勢を転換させた。解除前に日銀の当座預け金に預け入れれば、利息の支払いが求められていたところ、現在では年0.5%の利息が受け取れる状況となった。
それゆえに、変更前には過剰な調達による在庫負担を抱えぬよう神経を尖らせる必要があったところ、その必要がなくなった。それに伴い、投資信託などの預かり資産の販売を小休止させ、預金獲得に舵を切った銀行が珍しくない。預金残高で国内4位の静岡銀行も、個別住宅へのポスティングを再開して預金増強に注力しており、競合先金融機関にとって脅威となっている模様だ。そのように預金調達に積極化した結果、96行の預金調達額は昨年比で1.66%伸びた。
内訳では、96行中74行が前年比で預金を伸ばし、増加銀行の全体に占める比率は77.08%だった。金融実務上の皮膚感覚では、市中銀行が1年で数値を5%伸ばすことは極めて難しく、銀行が文字どおり一丸となって目標に向き合わない限り達成できない数値だ。それゆえに、6位までの各行は、預金獲得に相当に注力したことだろう。
個別の顔ぶれでは、相対的に規模が小さいため比率が変動しやすい第二地方銀行が伸び率の上位3位を占めた。中でも1位の東京スター銀行の伸び率は10%を超え、驚異的だ。12月10日現在、給与や年金の受取口座を指定した場合などの普通預金金利が年0.60%となる「スターワン円普通預金」などを提供中であり、これらが残高増加に寄与したことだろう。
預金・譲渡性預金の合計残高が地銀・第二地銀中14位と大手の一角を占め、それゆえに伸び率が高めにくい中で5%超を伸ばした中国銀行も、驚きに値する。専用アプリで普通預金の口座を開設すると、各種条件の達成で最大3万1000円のプレゼントを行うキャンペーンなどを実施しており、それらの施策が奏功した見込みだ。








