対面・口頭コミュニケーションは
「真意を引き出すため」に使う
まずは、対面・口頭の使い方です。
これは「相手と腹を割って話す」シーンに適しています。
ただ、どういうときに対面・口頭コミュニケーションが適しているのかを若手に助言する際には、具体的なシチュエーションを伝えるよりも、対面コミュニケーションを行った際に得たい効果の話を伝えるほうが響きます。
そのため、対面・口頭コミュニケーションは「相手の真意を引き出したいとき」「相手の本音を探りたいとき」に使う、というふうに説明すると良いと思います。
そうすれば、どんなときに対面・口頭を選ぶべきかを考えやすくなるでしょう。
チャットやメールなどのテキストコミュニケーションと異なり、対面・口頭での会話は、エビデンス(証拠)が残りません。
そのため、非公式な話を聞きたいときには、対面・口頭であることが有利に働きます。
また、対面の場合、“この話を知っているのは、その場にいる人だけ”というクローズドな印象を与えることができます。
少し身を乗り出して物理的な距離を縮めつつ、声のトーンを急に落として「ここだけの話ですが……」と切り出すだけで、非公式な印象をぐっと強めることができます。
たとえば、価格交渉をするとか、契約条件を見直すとか、相手からの特別な要望を受けるとか、そういった状況で「実際のところ、どこまで譲れるのか(反対に、どれは絶対に譲れないのか)」などを聞き出すには、対面・口頭の場を設定することが望ましいわけです。
なお、teamsやzoomでも同じじゃないかと思う若手がいるかもしれませんが、その場合には、次のような点が異なることを伝えてあげると良いでしょう。
・ 表情や雰囲気がカメラ越しでは見えにくく、話をどの程度理解してくれているのか、および、肯定・否定などの感情の動きなどを読み取りにくい
・ 発話中に話をうまく遮ることができない(=同時発話が困難)ため、一方的に聞きっぱなし、話しっぱなしになりがち
・ ホワイトボードや紙などに手書きで書くということが難しく、同じ「モノ」を見ながら会話できない
特に「真意を聞き出す」という目的に照らし合わせると、これらの違いは、かなり大きなものになります。
最後の点は、Miroなどのツールやzoomのホワイトボード機能、パワーポイントの画面共有などで、ある程度は代替可能ではありますが、2点目に挙げた「同時発話の難しさ」も相まって、対面での議論には劣ります。







