これらの欲求が満たされていると、日常的に満足感、幸福感を得られるようになります。

「幸せな働き方」もまた、つぎの3つの条件を満たしたものであるといえます。

1 「やりたいこと」をやっている(主体性)
2 「できること」が自分にもある(有能感)
3 「つながり」を実感できる(関係性)

 逆に不満がたまるのは、「やらされ感」「できない感」「ぼっち感」があるから。

 定年退職後のリゾートバイト(編集部注/観光地の宿泊施設などに住み込みで働くこと)が急激に増えたのは、新しい世界を体験できる、自分の人生経験が活かせる、同僚やお客さんと交流できるなど、心の欲求を満たしているからです。

生きがいを見つけることで
毎日の生活にハリが出る

 和菓子の教室を開くようになった女性が、「和菓子作りの楽しさを大人はもちろん、子どもや外国人にも知ってもらうのが、生きがいになりました。いつか海外でも教室を開きたいと夢見ています」と言っていたことがありました。

「生きがい」のある人は、とても幸せだと思ったのです。それだけで、毎日にハリが出て、ワクワクしながら過ごせるのですから。

 彼女は会社勤めを辞めたあと、すっかり目的をなくしてぼんやりしていたところに、ふと読んだ本から夢を見つけて、急に元気がわいて走り始めたのだとか。

「生きがい」とは、近年、日本独特の概念、「IKIGAI」として世界に広まりました。

 世界共通で重視されてきた「生きる意味」「人生の目的」と少しニュアンスが違っているのは、日本語独特の成り立ちや、文化的な背景によるものがあるといいます。

 まず、「生きがい」とは、「生きる+甲斐」、つまり、生きる手応えを感じるもので、大きな使命感やライフワークだけでなく、日常の小さな喜びや楽しみも含んでいます。「花を育てるのが生きがい」「野球選手を応援するのが生きがい」「趣味のサークルが生きがい」など、なんでもいいのです。

 つぎに、個人よりも共同体との関係を重んじる日本独特の文化が背景にあります。