西洋の「生きる目的」が自己実現や個人の自由な選択を重視するのに対して、「生きがい」は、「だれかの役に立つこと」が核になりやすいのです。

時間があり余る老後は
“上等な暇つぶし”を探す旅路

 ほかにも「かぎりがある人生だから、いま、ここにある喜びを味わおう」という無常感や、日常の些細な喜びや侘び寂びにも価値を見出す美意識も関係しています。

 まさに「生きがい」は、60歳からの人生にぴったりの価値観。仕事においても生きがいをもつことで、張り合いがあって、喜びや情緒を深く味わう毎日になり、“上等な暇つぶし”になるのではないでしょうか。

「介護職はしんどいときもあるけれど、おじいちゃん、おばあちゃんの笑顔を見るのが生きがい。すべてが報われて、またがんばろうと思える」と言った人もいました。

「生きがい」とは、「これがあるから、がんばれる」という生きるエネルギー源で、それが一度きりではなく、繰り返しわいてくること。働く意欲になり、夢中になり、「やってよかった」と満足を得られるもの。

 つまり、やる前も、やっている途中も、やった後も力がわいている状態。しんどいときも支えてくれます。

「仕事自体は楽しくないけれど、仲間と冗談を言って笑い合うのが楽しいから仕事に行っている」というのも、ひとつの生きがい。

「小さな達成感がある」「推しのスタッフに会うのが楽しみ」「仕事帰りの温泉が最高」でもなんでもいいのです。

平凡な仕事のなかで
いかに喜びを見つけられるか

 生きがいをもてる人は、たまたまいい仕事やいい環境に巡り合えた人だけではありません。

 多くは、あたりまえのこと、小さなことに喜びや楽しさ、面白さを見出して、それを生きがいにしていける心の習慣がある人なのです。

 私もものを書くことが生きがいになっていますが、毎日、長年やっていれば、「今日はしんどい」と腰が重くなることもあります。それでも「役割を与えてもらった」と感謝することは自分を支えてくれるし、やり始めるといつの間にか夢中になり、時間を忘れてやっています。