時間栄養学の観点で
おすすめのトッピングとは?

「天ぷら」以外のものでもいい。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)上級研究員の大池秀明氏は「にしんそば」を提案する。かけそばの上ににしんの干物「身欠きにしん」を甘露煮にしてのせるものだ。特に北海道や関西地方で親しまれている。

「時間栄養学の観点で夕食は、低炭水化物、低脂質が基本。脂質は胃腸に負担をかけるので、本来は消化にいいものを食べた方がいいでしょう。ですがそばだけではおなかが空(す)きやすく、栄養素も不足しやすい。野菜類や、タンパク質が多いものをトッピングした方が満足感は高まるので、魚のにしんや、かまぼこをのせるといいと思います」(大池氏)

そば粉に含まれるルチンが
アルコールによる血管の負担を緩和

 大池氏は日頃から夕食に具材たっぷりのそばと、晩酌を楽しむことが多いという。「お酒はそれほど血糖値を上げませんから、そばと酒の食べ合わせは悪くありません」と説明する。

 望月氏も「そば粉に含まれるルチンがアルコールによる血管の負担を和らげるという報告がある」と話す。

「ただしそばは消化吸収が良いものなので、お酒を飲むと酔いが回りやすくなるかもしれません。何かタンパク源となる卵をのせた月見そばにしたり、薬味を入れたり、とろろや山菜などの食物繊維が豊富なものを合わせて取りたいですね」

 健康効果の高いそば。年越しだけでなく新しい年にも、とろろや野菜類、タンパク源とともにいただこう。幸運と健康を祈りたい。

◎年越しそばと合わせるお勧め食材
とろろ……食物繊維が豊富。ヌメリ成分には胃の粘膜を保護する働きが。でんぷん分解酵素が含まれ、消化を促進。
大根おろし……消化酵素たっぷり。食物繊維も豊富。
わかめ……整腸作用や血糖値上昇抑制に役立つ食物繊維が多く含まれる。塩分排出に働くカリウムも豊富なため、つゆに塩分が多いそばと相性が良い。
しょうが……血行を促進し、血管を強くするビタミンEが含まれる。
わさび、ネギ……抗菌作用がある。
卵、ニシン、かまぼこ…満腹感を維持し、そばに不足しがちなタンパク源を補う。


◎最強の年越しそばの食べ方
(1)麺は「十割そば」「二八そば」を選ぶ
(2)そばには「お勧め具材」をのせ、就寝3時間前までにいただく
(3)そば湯(ゆで汁)を飲む

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