さて、章男会長、トヨタ社内に向けた年頭の挨拶では3年ぶりに佐藤社長と並んで壇上に立ち、「今年の書き初めには『場』の漢字を選んだ」と書を披露。

「場」とは、トヨタの過去~現在~未来を凝縮していること。全ての原点は「現場」であり、人は現場で育つこと。クルマづくりからモビリティの“場”づくりへ。分断の時代だからこそ“場”が必要。人に立ち返る1年に、などと想いを説明した。

 さらにもう1つ、「トヨタ創業の想い」を解説する動画を流した。創業者である祖父の豊田喜一郎から父の章一郎へ、「自動車」から「家(住宅)」そして「空飛ぶクルマ」へ。豊田家の一代一業だけではなく、夢への挑戦が続いていること、章男氏は継承者としてタスキを受け取ったこと。26年はトヨタ会長として「挑戦と実践」をしていく覚悟を示した。

 そして1月12日、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)グループが25年の世界販売台数を発表したことに伴い、トヨタはダイハツと日野を含むグループ全体で、VWの通年を上回り、6年連続の世界首位が確定した。

 章男会長は常々、やらなければならないことの1つに「グループ全体のあり方を考えること」と述べている。と同時に、日本の時価総額ナンバーワン企業として、世界で勝ち残るためのリーダーの役目も当然ながら求められている。

 先述したように自身も、そして一心同体といわれる佐藤氏も業界団体のトップを務めることから、「業界1強」のトヨタがリーダーシップを発揮する構図がさらに明確になった。

 章男会長は今年5月に70歳を迎える。先の東京オートサロンのプレスカンファレンスにて、壇上から降りてきた章男会長に直接こう尋ねた。

「今年はいよいよ古希になりますね。脚は大丈夫ですか」「業界を引っ張っていかなければならないから健康に留意して頑張ってください」と声をかけると、「そう、70歳になりますからね。やらねばならないことは覚悟していますよ」と返ってきた。

 実は章男会長、長年のレースドライバー活動から脚に負担がかかっているもようだ。トヨタグループの総帥としても、日本のモビリティ業界のトップとしても、今後は「貴重な時間」を意識して活動していくだろう。その根底には冒頭のセンチュリーの魂、ジャパン・プライドがあるはずだ。

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