よかった点を教えると
その後の行動の指針になる

 研究チームは、BSPが効果を発揮する理由に、「行動の明確化」を挙げています。

 たとえば、「商談の冒頭で前回の議事録を確認し、積み残した課題から話を始めましたね」といった具合に指摘があると、望ましい行動がどれであったのかが示されることになります。

 さらに、BSPは受け手の内発的動機づけを高める効果もあると予想できます。

 具体的な行動への評価は、「自分にはこういう強みがある」という気づきをうながせるからです。それが、さらなる成長への意欲を引き出すでしょう。

 たとえば、次のように対比すると、BSPのほうが行動の改善をうながしやすいことが想像できます。

●一般的な評価:「この四半期の売上目標を達成できましたね」

○BSPによる評価:「新規顧客へのアプローチで、毎回、その企業の課題を事前に調査していました。そうした準備の積み重ねが、成約率の向上につながったのでしょう」

 BSPは組織全体でも活用できます。BSPを導入した組織では、チームメンバー間の相互学習が活発になります。誰かが受けたBSPを見聞きすることで、ほかのメンバーも「自分もそうした行動を意識しよう」と考えることが期待されます。

 ポジティブ・フィードバックの真髄は、相手の成長を加速させることにあります。その点でBSPは、具体的な行動を指摘することで、相手が自分の強みを認識し、それを伸ばしていく道筋を示すことができる、強力な手段といえるでしょう。

より高い効果が期待できる
正しいフィードバックの3要素

 フィードバックは、相手の成長を加速させます。とりわけ、「なぜその行動が価値あるものなのか?」「どのように改善できるのか?」という説明を含むフィードバックは、大きな効果を生み出します。

 先ほど取り上げたウィスコンシン大学マディソン校のツィエラー・ウィスニエフスキー氏らの包括的な分析では、フィードバックの質が学びの質を左右することを明らかにしています(注2)。

(注2)Wisniewski, B., Zierer, K., & Hattie, J. (2020). The power of feedback revisited: A meta-analysis of educational feedback research. Frontiers in Psychology, 10, Article 3087.