人の成長を多角的に見つけるための観点として、ここでは代表的な3つの例を紹介します。これらは特定のフレームワークに基づくものではありませんが、多くの組織で重視される能力と重なる点が多く、日々の観察の切り口として役立つはずです。

 1つ目は「主体性」です。これは、状況を考慮し、必要な行動を自ら判断して実行に移せているかという点です。

 たとえば、「顧客からの急な要望に対して、関係者との調整を進んで行ない、期待以上の提案を行なえた」などといったことです。

 2つ目は「チームへの貢献」の観点です。目に見える協力行動だけでなく、チームの雰囲気づくりなども含まれます。日々の業務の中で得た知見を文書化して共有したり、チームメンバーの状況を察知してサポートを行なったりする行動が該当します。

 3つ目は、「問題解決」という観点です。問題の本質を見抜き、再発防止や予防を考えているかという点です。たとえば、業務上のミスが発生した際に、プロセスの見直しやチェック体制の構築まで考えられているかといった部分です。

 さらに、時間軸での観察も大事です。「ある時点の」行動だけを切り取るのではなく、その行動に至るまでの「準備」や、行動後の「振り返り」、次の行動への「活かし方」まで含めて観察します。

 たとえば、プレゼンテーションの場面では、資料作成での試行錯誤、本番での発表内容、そのあとの質疑応答の対応、そして次回のプレゼンテーションでの改善点の活かし方まで、一連の流れとして捉えます。

成長は右肩上がりでないからこそ
細やかな記録を怠らない

 観察にあたっては、「成長には必ずしも右肩上がりではない側面がある」ことを理解しておきましょう。技術やスキルの習得過程では、最初は既存の方法との比較や違いの理解に時間を要し、一時的にパフォーマンスが低下することもあります。

 しかし、この期間は新しい知識を自分の中で統合し、深い理解を形成しています。表面的な停滞ではなく、次のステップに向けた準備として捉えます。