多くの大企業には「経営企画部」という部署があります。そこで全社的な戦略を練り、各事業部に展開していくという構造が一般的です。しかし、ユニクロには経営企画部が存在しません。
一般的な日本企業では、「コーポレートストラテジー」と呼ばれる全社戦略を経営企画部が担当し、さらに事業本部ごとに戦略を立案する部門が設けられています。
しかしユニクロでは、そうした階層構造がなく、各事業の責任者が自ら考え、柳井さんとすり合わせ、部下と一緒に実行するフラットな組織構造になっています。
「考える人」と「実行する人」が同じで、「私は考える人、あなたは実行する人」という役割分担がありません。各事業部がそれぞれ柳井さんと議論しながら戦略を立て、「計画1割、実行9割」ですぐに実行に移します。
このアプローチによって、ユニクロは驚異的なスピード感を生み出しています。
中期経営計画は立てず
「即断・即決・即実行」
また、多くの日本企業の戦略は、「中期経営計画」として、3カ月から半年程度の戦略策定期間で作成するのが普通です。しかしユニクロでは、各事業・機能において、どこに次の変革を起こすのかという方針のすり合わせを日常的に柳井さんと行いながら、戦略の方向性を決めます。
スピード感としては、1カ月くらいです。そして、すぐに実行に移します。全社がいっせーので中期経営計画をつくるプロセスを回すのとは全く異なります。
『ユニクロの戦略』(宇佐美潤祐、SBクリエイティブ)
ユニクロには、そもそも中期経営計画というものが存在しません。あるのは、パーパスとビジョン(2025年現在は第4創業10兆円構想)とその実現のための各事業・機能の戦略だけです。戦略には、うまくいかなければ早々に修正や撤退を決断する柔軟性も織り込まれています。「即断・即決・即実行」を徹底しているのです。
この「計画のための計画」を排除したアプローチは、現代の変化の速さに対応するためには不可欠です。
多くの日本企業は、高額な資金をかけて、外部のコンサルティング会社に戦略を練ってもらったにもかかわらず、実行段階で環境が変わってしまい、結局うまくいかなかったというジレンマに陥っています。
それに対して、ユニクロは速い意思決定と実行のサイクルで、常に時代の一歩先を歩んでいるのです。







