デザインは、どこまで機能を広げられるのか――射程をプロダクトから事業・組織へ拡張するための設計力

CDO(チーフ・デザイン・オフィサー)に求められる要素は、「深さ・幅・高さ」の三つの軸で捉えられる――それが私の仮説である。前回は、そのうちの一つである「深さ」について、企業の経営者やデザイン部門のトップ12人との対話を通じて考察してきた。デザインの「幅」とは、単に守備範囲が広いということではない。プロダクト、事業、組織、ブランド――それぞれの本質を理解し、どこにデザインが介在すべきかを見極め、仕組みとして実装していく力のことだ。CDOに求められる三つの軸のうち、今回はこの「幅」に焦点を合わせる。複数の企業への取材を通じて、デザインが事業や経営と接続されていく具体的な姿を整理してみたい。

デザインが拡張するトレンド
視野の広さだけで、デザインは機能するのか

 CDOに求められる要素は、「深さ・幅・高さ」の3軸で捉えられる――それが私の仮説であると前回書いた。「深さ」とはデザインの専門性、「幅」とは視野の広さ、「高さ」とは視座の高さを意味する。

 今回は、そのうちの二つ目の軸である「幅」について、一連のインタビューを通じて私が学んだことを整理してみたい。

 私が考える「幅」、すなわち視野の広さとは、プロダクトやグラフィックの色や形、線といった表層的な要素にとどまらない。プロダクトを構成する技術、会社の事業や組織の在り方、さらにはブランドまでを「デザイン」という視点で捉え直す力を指している。

 ただし、視野を広げるだけでは、デザインの力を実際にさまざまな領域に及ぼすことはできない。必要なのは、おのおのの事業や組織の在り方を深く理解し、その本質を洞察した上で、デザインがその力を発揮できる具体的な仕組みや体制をつくることである。

 従来の「デザイン」という限られた領域にとどまるのではなく、事業や組織の境界を自ら越えていくことで、デザインの可能性を広げる。そうした力こそがCDOに求められる「幅」なのではないか。一連のインタビューを通じて、私はその考えをより深めていくことができた。