「かわいそうなロスジェネ」というレッテル

 一方で日本全体では、少子高齢化が想像以上の速度で進行し、国力の縮小が社会の隅々で現象として実感されるようになって久しい。もちろん政治にも少子化への焦燥感が生じたものの、せめて少子化の進行速度を緩めようと繰り出される具体的な手立ても焼け石に水で、毎年のように「出生数が前年割れ」「史上最低」と、記録を下方へ塗り替えていくニュースを聞かされても、もう驚かなくなったものだ。

 2020年の統計結果をベースとした日本の男性の生涯未婚率(50歳時点で婚歴のない人の割合)が28.3%であると報じられた後で、今度は日本女性の生涯無子率(50歳時点で子どもを持っていない1970年生まれの女性の割合)が先進国ダントツの27%であると報じられた。日本の少子化はそもそも未婚率の高さと結婚・出産の高齢化が原因、と理解した各地の行政は親切にも婚活支援を始めた。

 なんとなく符合する未婚率や生涯無子率の”約3割”という漠然とした数字が人々の記憶に残り、事実は別として、日本の団塊ジュニア世代から氷河期世代、現在の45歳から55歳くらいの年代には男女それぞれ3割の「持たざる者」がいるとのイメージが刻まれた。

 こうして、広義のロスジェネ、日本のアラフィフ男女に対する「寂しい」「かわいそう」なイメージが塗りつけられて久しい。人口のボリュームゾーンであったにもかかわらず、再生産しなかった世代である、という微かな断罪を滲ませて。

なぜ、団塊ジュニア&氷河期女性は子どもを産まなかったのか

 なぜ、人口のボリュームゾーンだった団塊ジュニア&氷河期女性たちは子どもを産まなかった/産めなかったのか。それには、彼女たちが出産適齢期だった20~30代のころの社会を思い出す必要がある。

 団塊ジュニア世代から就職氷河期にかけての、いわゆるロスジェネ世代での出生数が落ち込んだのには、大きく2つ、経済的理由と身体的理由がある。