会計が面白いほどわかるミステリ本連載の著者、白井敬祐さんの新刊『会計が面白いほどわかるミステリ 決算書に隠された7つの罪』が発売されました

 だからこそ、私はAIの活用に大きな期待を寄せています。

 AIによる異常検知を監査プロセスに組み込むことで、人間の目では拾いきれない「小さな揺らぎ」を機械的にスクリーニングできるようになります。

 例えば、取引先との金額の推移パターン、同業他社と比較した利益率の異常、新規取引先の急激な取引増加、特定の担当者に紐づく取引の偏り……こうしたシグナルをAIが自動で検出し、監査人にフラグを立てる仕組みが実現すれば、重要性の基準では拾えなかった取引にも光を当てることができます。

 限られた監査リソースをAIで補い、現状の重要性の金額に限らず、比較的小さな金額の異常も見逃さない。「期待ギャップ」を埋めるのは、監査人の努力だけではもはや限界があります。テクノロジーの力を借りて、監査の網の目をより細かくしていくことが、今まさに求められているのではないでしょうか。

 約2460億円という数字のインパクトはいずれ薄れていくでしょう。しかし、この事件が突きつけた「監査の限界」という問いは、そう簡単には消えません。

 循環取引という古い手口に、新しい技術でどう立ち向かうか。その答えを出すことが、会計業界全体に課せられた宿題だと考えています。

☆もっと詳しく知りたい方は以下のYouTubeをチェック!筆者が解説しています。