架空計上された売上高は累計約2460億円。営業利益への影響は約マイナス500億円。グループ外部に流出した現金は約330億円に上ると見込まれています。

 そして、現時点で関与が確認されているジー・プランの社員2名は、ビッグローブにも出向・兼務していました。発注する側と受注する側の両方に籍を置いていたからこそ、架空取引を長期間にわたってバレずに回し続けることができた、という可能性もあります。真相の詳細は、3月末に公表予定の調査報告書を待つことになります。

会計事件簿筆者作成
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なぜ監査法人は気づけなかったのか
その背景にある「監査の鉄則」

 さて、ここからがこの記事で最もお伝えしたいことです。「なぜ長期間にわたり誰もこの不正に気づけなかったのか」という問いに、正面から向き合いたいと思います。

 多くの方はこう思うでしょう。「監査法人はいったい何をしていたのか」と。

 KDDIの監査を担当しているのはPwC Japan有限責任監査法人。世界四大監査法人(ビッグ4)の一角を占める巨大ファームです。しかし、現段階で明らかになっている情報を踏まえて言えば、私はこの不正を監査で見抜くのは極めて難しかっただろうと考えています。

 なぜか。それは「重要性」という監査の根幹にある考え方に関係しています。

 KDDIの2025年3月期の年間売上高は約5.9兆円。営業利益は約1.1兆円。文字通り“化け物級”の規模です。

 対して、この不正の単年度での売り上げ影響は約820億円(2025年3月期)。絶対値としては大きいですが、全体の比率にすると、わずか1.3%程度にすぎず、他の取引の中に埋もれてしまうほどの規模感です。