物価高と政治の腐敗に
国民の不満が噴出
なぜ、これほどまでに与党から支持が離れたのか。最大の要因は物価高と政治の腐敗への不満だ。
ハンガリーの消費者物価(HICP)上昇率はコロナ禍後の2021年頃から、他のEU諸国と同様に上昇し始めた。しかし、2022年後半から急騰した同国のインフレ率はEU加盟国内でも突出した水準となり、2023年1月のピーク時には前年同月比+26.2%を記録した(図表2)。
2022年は、パンデミックからの急速な景気回復とロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰が相まって、欧州全体が物価高に苦しんだが、なかでもハンガリーはその影響を大きく受けた。
エネルギー供給の大部分をロシアに依存していたことに加え、ウクライナの隣国であるという地政学的な要因などから通貨(フォリント)安が進行し、輸入インフレが加速した。加えて、2022年4月の総選挙に向けてオルバーン政権が所得税の還付や年金の追加支給といった大規模な財政出動を行ったことで国内の需要が拡大したことも、インフレ高進に拍車をかけた。
オルバーン政権下の汚職や収賄疑惑については、今に始まったことではない。オルバーン氏の幼なじみや娘婿といった友人・親族が関わる企業が政府の公共事業を次々と入札するなど、権力による縁故主義によって政府関係者に富が集中していることなどがかねてから批判されていた。それでも、オルバーン政権の伝統的で保守的な価値観を強く支持する保守層が地方部を中心に根強く存在し、フィデスの人気を支えていた。
しかし、2024年2月に発覚した大統領による恩赦スキャンダルが、オルバーン政権にとって大きな打撃となった。








