エネルギー動乱Photo by Tohru Sasaki

JFEホールディングス(HD)傘下のJFEエンジニアリングが野心的な利益目標を掲げている。中期経営計画が終わる2027年度にはセグメント利益(経常利益に相当)を2倍強の420億円に押し上げ、35年度までにさらに1000億円に引き上げるというのだ。これはエンジ最大手の日揮ホールディングスの27年度営業利益目標200億円を大きく上回る数字。JFEエンジはここ数年、積極的なM&A(合併・買収)を仕掛けるほか、昨年には国内初の洋上風力発電のモノパイル(大型の基礎杭)工場を竣工している。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、福田一美社長に1000億円の利益目標の具体的な算段を聞いた。(聞き手/エネルギージャーナリスト 宗 敦司、ダイヤモンド編集部 金山隆一)

国内の安定収益でM&A攻勢も
洋上風力の大型投資に逆風!?

――JFEエンジニアリングの現在の事業内容と収益構造について教えてください。

 製鉄業を中心とするJFEグループの総合エンジニアリング会社です。他のエンジ会社と異なるのは、石油化学系よりも生活関連インフラ分野が主流となっていること。都市ごみ焼却プラントや水処理施設(昨年に月島機械と事業統合)、橋梁も手掛けています。また都市ガスの幹線パイプラインも手掛けるなど幅広い事業を展開しています。

 これらのEPC(設計・調達・建設)で納入したプラントの遠隔監視やメンテナンスのほか、廃棄物リサイクル事業や再生可能エネルギー発電、電力小売事業も手掛けていて、O&M(運用・保守)を含む運営型事業で会社の利益の半分を稼いでいます。安定的なベースロードとなる事業の売り上げが半分を占め、エンジ会社としては安定しているのが大きな特徴です。

――分野ごとのビジネスの現状と今後の見通しは。

 2027年度までの中期計画で売り上げ7000億円、受注8000億円、セグメント利益420億円、ROS(売上高経常利益率)6%を目標としています。分野別では都市ごみ焼却プラントのEPCと廃棄物リサイクル事業で3000億円弱。国内のごみ焼却プラントの受注は好調で27年度目標における利益の源泉となっています。

 一方、エネルギー分野はここにきてカーボンニュートラル分野が迷走しており、水素・アンモニア・CCS(二酸化炭素の回収・貯留)関連のプロジェクトが後ろ倒しになってきました。しかし、二酸化炭素の排出が少ないLNG(液化天然ガス)が復権しており、今年度から受注が回復していくと見ています。具体的にはLNG火力発電所の燃料供給設備や、LNG受け入れ基地の積み下ろし設備やタンク、再気化器、パイプラインなど。パイプラインでは(LNGなど)低温流体を送る設備に強く、導管を作っている会社ではトップシェアです。

 エネルギー関係の売上高はここ数年1500億円強でしたが、化学プラント分野で20年に三井E&Sプラントエンジニアリング(現JFEプロジェクトワン)を、25年3月には住友ケミカルエンジニアリング(現JFEプラントテクノロジー)を買収しました。この2社が加わったこともあり、今後もこの分野は上向いていくと考えています。それらに電力ビジネス事業を加えたカーボンニュートラル分野全体で売上高は2800億円を想定、鋼構造物など社会インフラ分野の1200億円などを合わせると、今年度ですでに受注高は7000億円程度の見通しです。

――積極的にM&A(合併・買収)を実行できてきたのはなぜですか。

 M&Aだけでなく、昨年には洋上風力のモノパイル工場を、400億円を投じて建設しました。ベースロードの収益があるからM&Aができるし、成長投資にも資金を振り分けしやすい。人材採用でもこうした成長投資の取り組みをアピールしていきたいです。

――洋上風力発電分野では三菱商事が政府公募のプロジェクトから撤退する事態となりました。

洋上風力の成長を見込んで巨額の工場投資を決断したJFEエンジは、現状では撤退の文字はない。では、逆風下にある洋上風力でどのように稼いでいくのか。また、10年後の1000億円という利益計画の実現のカギを握るM&Aはどこに照準を合わせているのか。次ページで福田社長に詳しく聞いた。