まず自動車業界で新体制が相次ぐ背景として、大きく4つの苦難が待ち受けている。
すなわち、(1)脱炭素対応の一方で世界的に電気自動車(EV)シフトが不透明になっていること、(2)AI(人工知能)の進展やソフトウェア関連の新技術で中国勢の台頭が目覚ましいこと、(3)トランプ関税に代表される不確実性、非連続状況への対応、(4)イラン戦争によるサプライチェーン混乱など地政学リスクへの対応といった経営課題が挙げられる。
海外メーカーを含めて業界の生き残り競争はより熾烈になっており、経営体制の内部固めと外部環境変化の見極めが求められている。
【三菱自動車】
1月21日に社長交代を発表。加藤社長と執行役員の岸浦恵介・執行役員コーポレート企画本部長が記者会見し、4月1日付けで岸浦社長COOと加藤会長CEOの体制に移行するとした。海外営業経験も豊富な岸浦氏を抜擢し、加藤会長は引き続きトップを務めることで、ホンダや日産、あるいは他社との協業にいっそう注力する狙いがあるだろう。
【トヨタ自動車】
2月6日に突然の社長交代を発表。4月1日付けで近健太CFOが社長に昇格する。佐藤恒治社長は副会長に就き、豊田章男会長は留任。
近氏は、佐藤氏よりトヨタ入社が1期早く年齢も1歳上で、副社長も経験。佐藤氏の社長就任によって退任し、子会社のウーブン・バイ・トヨタの代表取締役となったが、昨年からトヨタ本体に復帰していた。
佐藤氏は、新設のチーフ・インダストリー・オフィサー(CIO)に就く。また、経団連副会長と自工会会長の要職に就き、自動車業界ひいては日本の財界をまとめる立場に専念する。
近氏は、トヨタの源流企業である豊田自動織機の株式非公開化に向けても尽力。TOB(株式公開買い付け)価格を引き上げ、米アクティビスト(物言う株主)の応募合意を取り付けてTOBを成功させた。豊田章男会長の“名代”の役割を早くも実行している。







