
昨年、サントリーホールディングスで10年ぶりに創業家出身者がトップに就任する“大政奉還”があった。創業120年超の歴史を誇る日本屈指の同族企業、サントリーの足跡をダイヤモンドの厳選記事を基にひもといていく。連載『ダイヤモンドで読み解く企業興亡史【サントリー編】』の本稿では、「週刊ダイヤモンド」2001年11月24日号のサントリー、佐治信忠社長のインタビュー記事「資産は『やってみなはれ』DNA 負債はしのびよる官僚化」を紹介する。01年3月にサントリーの4代目社長に就任した佐治信忠氏は、10年後に当時の2倍に当たる売上高3兆円構想をぶち上げた。就任1年目の佐治氏が、構想の中身や、組織体制、赤字が続くビール事業、経営者の資質などを余すところなく語っている。(ダイヤモンド編集部)
サントリー佐治社長インタビュー
負債はしのびよる「官僚化」
――どの企業にもバランスシートには表れない資産と負債があります。サントリーの場合はなんですか。
佐治 資産はやはり、「やってみなはれ」というDNAですね。それが社内にみなぎる活力の源です。加えて、メーカーとしての技術力。よく宣伝のサントリーといわれるが、技術力があるからこそ、です。
――どんな企業も年を積み重ねていくと、組織が保守的、官僚的になりがちです。そこをうまく切り抜けてきたのですか。
佐治 いや、心配は絶えずあるし、現実にもそうです。だから、トップは絶えずチェックし、問題があれば指摘しなければならない。私は今、「官僚化している」と社内にしょっちゅう言っています。
――具体的にはどこが官僚的ですか。
佐治 どこもかしこも。売り上げが伸びれば心は緩む。営業は守りに入る。間接部門は知らないうちに前例主義になる。組織というより、人間とはそういう生き物だと思っている。そこをどう打破するか、例えば抜本的な若返り、組織の大幅変更をやって、病原を断つ。うちは完全なオーナー会社なので、トップがそう思えばかなりのことを実行できます。
――社長就任後、連結売上高を今の1兆4000億円から、10年後に3兆円に引き上げると宣言されました。サントリーが数字目標を設定するのは珍しいですね。
佐治 父が一度、「1兆円企業」と言っていましたな。世の中が成熟し、売り上げは横ばいがやっとという時代ですから、夢のようなことをぶち上げて、それに向かって思い切ったことをやろうという意思表明です。いわば自分自身への動機付けと、社員に対するメッセージです。2兆円では手が届く。つまらないでしょう。ビジョンにも夢にもならん。それで3兆円。ただ2倍ですから、社員から見れば現実味はありませんよ。
――「売上高3兆円」の設計図はどんなものですか。
「週刊ダイヤモンド」2001年11月24日号







