なぜ他社はデリカを造らないのか

F:かくしてデリカは20年目で過去最高記録を更新した、と。

 ここで疑問なんですが、それならどうして他社はついてこないのでしょう?三菱の4WD技術は確かに素晴らしい。でも三菱でなければ絶対にできない、というわけではないですよね。他社にもそれぞれ優れた4駆の技術はある。売れると分かっているのなら、デリカ的なミニバンを他社が追従して出しても良いはずです。なぜ他社はデリカを出さないのか。

柴:ミニバンSUVとか、走破性を求めたようなクルマをなぜ他社さんが出さないかってことですか?

F:そうです。

柴:我々三菱自動車としてはデリカを大きなマーケットとして捉えていますが、他社さんからするとそれほど大きくない。ミニバン全体のニーズの中で、このカテゴリーのニーズは小さいということだと思います。

F:昨年度の過去最高記録というのは、何台くらいですか?

田:2万6379台です。

F:2万6000台以上!結構な数字じゃないですか。とてもニッチとは言い難い。

田:それはそうなのですが……もうひとつは国内専用車ということですよね。2万6000台「も」売れているという言い方もできますが、逆にいうと2万6000台「しか」造っていないので。国内向けに。

F:これは海外に出していないんですか?

柴:海外は厳しいですね。ワンボックスミニバン自体にあまりニーズがないので。だから他社さんもほとんど出していないと思います。3列シートというと、最近は大型SUVの3列が主流ですから。

F:海外のディーラーから「ぜひ出したい」という要望は出ないのですか?

柴:過去にそういう要望があって、東南アジアの方で一時期出したことがあるんですよ。確かタイだったかな。一度トライしたのですが、今はもうやめてしまいました。単純な話、売り上げが芳しくなかった。どうもスライドドアのミニバンは、商用車のイメージが強すぎるようで。人を乗せるにしても、大人数を押し込むような人員輸送車的なクルマと思われていて、「家族を乗せるクルマじゃないだろう」という意識が強いようなんです。

加:アメリカに行くと、デリカのようなクルマは「クリーニング屋さんのクルマ」と言われてしまいますから(苦笑)。

F:確かにミニバンを乗用として使うのは、日本独自のクルマ文化と見ることができますね。売り上げ好調の中、グレードはどうですか?どれがよく出ていますか?

柴:デリカにはP、Gパワーパッケージ、Gと3グレードあるのですが、その中で一番上のPが圧倒的に売れています。現状では8割がPと聞いています。一番高いクルマですから、それを選んでいただいて、お客様がお金を出していただけるというのは、造っている方からすれば素直にうれしいです。すごくうれしいです。