ウクライナ支援に吹く逆風

 原油価格の上昇は、プーチン政権にとって思わぬ追い風となった。一方で、ウクライナ支援国の経済負担を押し上げ、ウクライナにとっては逆風として作用しかねない。

 現在、支援の担い手をめぐる構図は、大きく変化している。バイデン前政権が軍事・財政の両面でウクライナ支援を主導していたのに対し、トランプ政権は関与を抑制し、米国の財政支援規模は大幅に縮小した。

 この結果、支援の負担は欧州に集中している。EUは2025年にかけてマクロ財政支援や軍事支援を拡充し、ウクライナ財政の下支えを担ってきた。

 欧州の支援体制は盤石とは言えない。これまでも、足並みの乱れがEUの意思決定における重大なボトルネックとなってきた。この点、2026年4月のハンガリー総選挙で追加融資反対の急先鋒(きゅうせんぽう)であったオルバン首相が敗北したことは状況を好転させた。だが、スロバキアなどの東欧諸国をはじめ、ウクライナ支援に対する慎重論がくすぶっており、不確実性は依然として残っている。

 また、中東地政学ショックに伴うエネルギーコストの急騰は欧州経済にとっても対岸の火事ではなく、インフレ圧力として波及している。経済的負担が拡大した場合、各国はエネルギー補助金拡充などの内向きの政策を優先する誘因が強まり、対外支援に伴う政治的コストは一段と跳ね上がる。

 中東情勢の長期化は、エネルギー市場を通じてロシアの継戦能力を支える一方で、西側諸国の支援態勢を揺るがし、ウクライナにとって不利な外部環境をもたらす懸念を強めることとなる。