ウクライナに巨額支援も関心の薄い日本
日本にとってもウクライナ支援は、重要な問題である。実際、日本の支援規模において国際的に見ても主要支援国の一角を占めている。
「外交青書2025」によれば、日本はウクライナおよび周辺国に対して累計120億ドル超の支援を実施してきた。また、キール世界経済研究所の「Ukraine Support Tracker」によると、2026年2月時点での日本の支援総額は約110億ユーロに上り、米国、EU、ドイツ、英国、カナダに次ぐ規模となっている。軍事支援を除いたベースで見れば、EU、米国に次ぐ上位に位置する。
一方で、欧州とは異なる課題がある。それは、巨額の支援を行っているにもかかわらず、国内での関心は必ずしも高くなく、その実態が十分に認識されていないという点である。その背景には、情報発信のあり方、すなわち透明性の低さがある。
キール研究所のウクライナ支援の透明性指数において、日本は42カ国・機関中で29位に沈んでいる。実際、首相官邸の特設ページは存在するものの、掲載資料は2023年12月版から更新されていない。個別の支援内容は、各省庁に分散しており、全体像を俯瞰(ふかん)することは難しい。
関心の低下が続けば、支援そのものに対する消極論が広がる懸念もある。政府としては、支援の透明性向上に向けた取り組みを継続する必要がある。同時に、支援への理解を促す観点からは、ウクライナ支援を単なる外交的な費用負担としてではなく、日本の国益との接点を具体的に示していくことも重要である。
この点に関し、これまでの政府の取り組みにも一定の手がかりが見て取れる。2024年2月に開催された「日・ウクライナ経済復興推進会議」では、官民の関係者が参加し、緊急復旧から中長期の復興までを見据えた協力が確認された。日本企業の技術・経験や投資を活用し、民間セクターの参画を促す姿勢も示されている。
個別の施策にも、これと整合的な動きが見られる。外務省のODAの一部は、国際協力機構の枠組みを通じて日本企業の参入支援に活用されている。また、経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」ではウクライナおよび中東欧諸国向けの特設枠が設けられ、医療機器の供与や避難民向け住宅整備など、複数の実証事業が採択されている。
もっとも、こうした施策の多くは補正予算を通じて措置されている点には留意が必要である。経済対策の一環として位置付けられている以上、ウクライナ支援としての意義に加え、国内経済への波及や企業活動への還元といった観点も併せて問われることになる。
いずれにせよ、今後はこうした取り組みの成果を積み重ね、日本にとっての具体的なメリットを可視化していくことが、長期的な支援を維持する鍵となる。
(伊藤忠総研主任研究員 浅岡嵩博)







