Photo by Toshimasa Ota
首都圏における中学受験塾の王者、SAPIX(サピックス)の次を担う中学受験塾はどこなのか。今、難関校志向を売りとする「少数精鋭型」の中学受験塾の人気が高まっている。知られざる少数精鋭塾の神髄を各塾のキーパーソンへの忖度(そんたく)なしのインタビューで明らかにする連載『ポストSAPIX 中学受験の少数精鋭塾大解剖』#18では、男子御三家、武蔵の合格実績に強みを持つ「進学教室アントレ」の天野友人・ひばりが丘教室教室長と対談。その前・中・後編のうち後編をお届けする。(教育ジャーナリスト おおたとしまさ)
算数の宿題はプリント1枚のみ!
学習指導会からの伝統「白板問題」とは?
おおたとしまさ 算数の宿題はプリント1枚だけとホームページに書かれています。これは、いまの中学受験文化の中では、かなりインパクトがあります。
天野友人・進学教室アントレひばりが丘教室教室長 うちが生徒に求める最高のレベルは、自分で解けるだけでなく、説明できるところまで行ってほしいということです。本当に自分の血肉にして、教える側に回れるくらいのレベルを、特に上位の子には求めています。そうなると、量をこなすのはむちゃです。
おおた 私はよく、最近の中学受験を大食い競争に例えます。つべこべ考えずに何でも大量に飲み込める人が勝つという意味です。
天野 どちらかといえば、深掘りして味わえるように、解像度が高く進んでいるところを評価してもらいたい。これは間違いなく、アントレ全体の思想です。もちろん、家でプリント1枚だけやったらいいわけじゃなくて、授業の復習はしてもらいますし、翌週の予習もしてもらうわけですが、似たような問題のドリルばかりはやらせません。
毎週の算数の提出課題はこのプリント1枚だけ。 Photo by T.O.
おおた でも、授業の中で「白板問題」というのも扱うんですよね。
天野 はい。あえてプリントは配らずに、ホワイトボードに問題を書いて、それをノートに写し取ってもらってから解かせます。これも学習指導会の時代からの伝統です。家庭での復習は、白板問題を中心にやってもらいます。
おおた そういう形で、授業の中で初見の問題にも取り組むわけですね。プリントを用意しないであえてホワイトボードに問題を書いて、(子どもに)書き取らせる手法は、宮本算数教室でも見ました。
天野 わざわざ問題を書き写させるのは、私も最初は非効率だと思いましたが、最近の新井紀子さんの読解力研究などを見ると、目で見て、写して書くことに意味があるようです。効果が感じられるから、いまでも続いています。
おおた 板書を写させると、勉強が得意な子とそうじゃない子はすぐ分かりますよね。得意な子はある程度の塊を頭に記憶してノートに写すけど、苦手な子は一字一字見ながら書き写す。
天野 3年生のうちにうちのやり方に慣れてもらうというのはまさにそのあたりです。徐々に慣れると、他の場面でも生きる能力だと思います。







