Photo by Toshimasa Ota
中学受験塾における東の横綱がSAPIX(サピックス)だとすれば、西の横綱が浜学園だ。その関西での存在感は圧倒的。西の最難関、灘中の合格者数は22年連続ナンバーワン、直近2026年入試でも101人の合格者数をたたき出した。だが、13年から「駿台・浜学園」として首都圏進出を果たしたものの、東での知名度はいま一歩だ。知られざる少数精鋭塾の神髄を各塾のキーパーソンへの忖度(そんたく)なしのインタビューで明らかにする連載『ポストSAPIX 中学受験の少数精鋭塾大解剖』#15では、昨年から首都圏でも塾名を「浜学園」に統一した西の王者を率いる松本茂・浜学園学園長に、首都圏での今後の戦略を聞いた。その対談の後編を掲載する。(教育ジャーナリスト おおたとしまさ)
これからの中学入試の問題は
「知識」よりも「創造性」が試される
松本茂・浜学園学園長 あとはやっぱり、うちの中だけで完結させたいという関西風な部分も、関東の塾との違いとして出てくるなと感じます。
おおたとしまさ なるほど。関東では、家庭学習の部分を、個別指導塾に通ってこなしたりもします。でも、関西の塾は、宿題も塾で見ますよという濃厚なスタイルが主流ですね。
松本 関東の浜学園では、その中道くらいを行こうとしている感じかもしれません。全部ガチガチに手取り足取りやるのとは違う。最後、自分で乗り越える力を持った子でないと勝てないと思います。ノウハウと知識だけ入れたら答えられる入試問題ではだんだんなくなってきている現在の中学入試では特にそう思います。
おおた 入試問題の変化を感じますか。
松本 もちろん知識は入れないといけないし、やり方も入れておかないといけないんですけど、最後のもう一歩のところは、初めて見たものでも戦えるようにしたい。そういう子にしようと思ったら、あまりにも手取り足取りし過ぎると、最後乗り越えられないような気がするんです。だから、宿題が全部終わることが正しいかというと違う。頑張ったけどできないこともあったり、「どうすればできるんだろう」という時間もあったりする。それが中学校、高校に行ったら生きてくると僕は思っていて、その部分も残しておかないといけない気がします。「宿題はあそこへ行ってやる」という発想ではない状態にしたいです。
おおた 今までも中学の先生たちは、「塾で対策して教えてもらったパターンで解けるようなものは出さないぞ」と一生懸命工夫してきた。だけど、それを塾がことごとくパターン化して解ける形にして教えてきましたよね。だけど、今はちょっと違う問題が出てきたぞ、という感じですか。
松本 知識はある程度もう飽和していて、これ以上小学生に求められない。逆に言うと、今の小学生にとっては、AIがこれだけ発達したら、それを求められない時代にもなる気がします。そこまで自分でやらなくてもいいということ。では差をつけるのは何かといえば、自分で新しいことを表現したり、持っている知識の範囲でつくり出したりすること。今までにないものをつくらないといけない時代になっている。そうした部分が徐々に広がっていくでしょう。世の中から求められる知識の量が減っていけば、その分、入試での配分も減っていき、新しい形の問題を出さなければいけなくなる。長い目で見れば必ずそうなっていくと思います。
おおた でも、塾はそれすらパターン化しちゃう、みたいなことはないですか。







