トランプ政策が不透明なせいもあって
中国寄り戦略にシフトする自動車企業
自動車産業が、これまで経験したことのないような環境変化に直面している。電気自動車(EV)や自動運転、情報・通信と結び付いたコネクテッドカーへの対応が求められると同時に、イラン戦争による供給網(サプライチェーン)の混乱、中東情勢の影響による減産などにも気を配らなければならない。複雑であり、対処は容易なことではない。
さらにもうひとつ、頭の痛い問題がある。それは、中国勢の目覚ましい躍進だ。1978年の改革開放以降、中国政府は国有・国営、民営の大手自動車メーカーと日米欧企業の合弁事業を認可した。そうして2009年、中国は世界最大の自動車市場に成長した。最先端のバッテリー技術を持ち、世界最大の自動車輸出国にもなった。
中国政府の補助金や工場用地の提供は、主にEVを造るメーカーの競争力を支えた。比亜迪(BYD)、浙江吉利(ジーリー)、上海汽車(傘下に英ブランドのMGなどを保有)、奇瑞汽車(チェリー)などが、新興国や欧州でシェアを獲得している。主な競争力の源泉は、なんといっても価格の安さが挙げられる。
この中国勢の台頭により、欧米メーカーは総崩れ状態だ。EVシフトの失敗に加え、イラン戦争でエネルギー資源価格が上昇し、アルミやナフサなどの供給も減少している。本来であれば各社ともに追加のリストラなどでコストカットを徹底すべき局面だが、その効果すら限定的と言わざるを得ない。
ドイツでは、少しでも固定費を回収するため、苦肉の策が打ち出された。フォルクスワーゲンが欧州の自社工場を、中国企業との共同運用を検討中と報じられたのだ。
米国はトランプ大統領の政策の行方が読みにくい。ドイツは、中国寄りの戦略を取ることで、米国以外の自動車サプライチェーンの構築、輸出の増加と雇用維持を狙っているのだろう。他のEU加盟国、カナダ、アジアやアフリカ、南米の新興国も同様の考えに傾倒しつつあるようだ。米GM、フォード、テスラもCATLなど中国企業との関係を重視せざるを得なくなっている。







