4000億円赤字転落のホンダ
起死回生に期待される「技術力」とは?
さて、わが国の自動車業界ではとりわけ、ホンダの業績への懸念が高まっている。決算予想を見る限り、ホンダの四輪事業の悪化は深刻だ。日米欧に加えて中国やアジア諸国の市場でも、ホンダは販売台数を減らしている。
背景にはトランプ関税の影響をはじめ、米EV事業の損失引き当て、減損処理、生産体制の変更による資産の除却など、さまざまな要因が絡んでいる。一例としてオランダの車載用半導体メーカーであるネクスペリアの供給停止も、ホンダ車の販売減少の要因になっている。
最近のホンダは四輪車事業の悪化を、収益性の高い二輪車事業で補ってきた。それでもキャッシュアウト(現金の支出)が止まらないようだ。5月上旬、同社はカナダのEV工場の計画凍結を検討していると報じられた。追加の人員削減などに追い込まれる可能性も高い。
非常に厳しい状況だが、打開策はきっとあるはずだ。選択肢として、非プラグイン型のフルHVの製造技術をうまく活用すべしとの指摘がある。
1997年に登場したトヨタの「プリウス」に続いて、99年にホンダは「インサイト」を投入した。それ以降、ホンダはHV製造の暗黙知を脈々と積み重ねてきた。
海外メーカーのHV製造技術は、いまだにホンダに追いついていないとの見方もある。欧州勢は異なるタイプ(マイルドHV)がメインだ。中国はプラグインハイブリッド車(PHV)の供給体制を拡充しているが、バッテリー容量がなくなった後の電動走行の効率性が劣るといわれている。
AIの推論性能が向上した今もなお、ホンダに匹敵するHVを製造できる海外勢は見当たらないようだ。HV製造の制御理論(ソフトウエア)、それを自動車に実装する装置(ハードウエア)の両面で、ホンダの暗黙知(図面やデータに表出できない内容)は突出していると評される。この競争力を発揮することは、ホンダが最悪期を脱するひとつの解になるのではないか。







