儲かる農業2025 日本の夜明け#10Photo:SL Liang/gettyimages

農家1400人の投票で決まる「カリスマ農家ランキング2025年版」を大公開する。同ランキングで首位に輝いたサラダボウルは、トマトの大規模生産で名をはせてきたが、次なる挑戦としてイチゴの栽培を始めている。特集『儲かる農業2025 日本の夜明け』の#11では、新規参入者が多いため、バブルの可能性も指摘されているイチゴにおいて、同社の田中進社長がどんな戦略を描いているのかに迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

クリスマス時期のイチゴ不足は
過剰スペックが原因

 ダイヤモンド編集部の担い手農家アンケートで、未来の農業モデルを挙げてもらい、生産者の得票数をまとめた「カリスマ農家ランキング」は、農業界で注目が高い恒例企画である。今年は、40代の中堅若手農家が上位を占めるなど大躍進を遂げた。

 同ランキングで2年連続1位になったのはサラダボウルだった。

 同社は、「中の上」の品質のトマトを、高い生産性で安定生産することを強みに成長してきた。生産技術を確立し、収益は農場数と比例して拡大するようになった。

 連結売上高は2023年度の35億円から、24年度には44億円に急伸。この間、四つの新農場が立ち上がった。さらに3農場が稼働し、傘下の農場が計14カ所に増えると売上高は65億円になる見込みだ。

 トマト生産で日本一の規模だが、顧客のニーズは満たせないという。質と量が安定した同社のトマトは、スーパーなどにとって、それほど“欲しい”商材なのだ。

 トマトで「儲かる農業」の形をつくったサラダボウルだが、挑戦はそれで終わらない。埼玉県白岡市の約20ヘクタールの耕作放棄地を活用してイチゴ栽培を始めるのだ。

 次ページでは、NTT東日本の子会社や、デンソー、双日の提携先が上位に食い込んだカリスマ農家ランキングの最新版を大公開。さらに、サラダボウルの田中進社長に、イチゴ市場参入における差別化戦略を余すところなく語ってもらった。新規参入者が相次ぐイチゴは、供給過剰に陥る可能性が指摘されているが、果たしてバブルははじけるのか。

 それに加え、イチゴの世界市場を狙って、完全閉鎖型の植物工場の技術を磨くOishii Farmの研究開発や、品種も含めた輸出産業化の秘策も明らかにする。