アセットマネジメントOne

飛田 突発的な事象は、ニュースの影響が企業業績や株価にどう波及するか、AIが織り込むまで時間がかかることがあります。最近では、2月末に中東情勢が悪化した際に、イスラエルの銘柄を除外しました。これは人間による判断です。

――AIと人間による判断は、どれくらいの比率なんでしょうか?

飛田 2017年の設定当初は、AIが8割、人間が2割くらいの比率でした。近年はAIの判断能力が格段に向上したので、AIによる判断比率が95%ほどにまで高まっています。

――ファンドマネジャー2人の役割分担は?

岡 私は、企業分析を行う運用チームを担当。一方、飛田はAIモデルの開発・運用にも深く関わっています。

 相場の状況やニュースの影響など現場で感じる変化を、私のチームが飛田に伝えながら、AIによる銘柄選定やポートフォリオ構築に反映しています。

AI活用も進化し
差別化を狙う

――高いリターンだけでなく、成績の安定度や下がりにくさも評価されています。どういう運用が奏功しているのでしょうか?

飛田 投資テーマの分散が効いていることが、大きいと思います。AIが幅広い観点で銘柄を選ぶことに加えて、ポートフォリオの構築でリスクの取り方をコントロールしています。一つのテーマが不調でも、別のテーマが補うことで、全体として値動きが安定しやすくなります。

 半導体や宇宙、AI関連など特定テーマに集中するファンドは、大きく上昇する局面では強い一方、下落局面では下げ幅が大きくなる傾向がありますから。

――2017年の設定以来、運用手法は変わっていないのでしょうか。

飛田 ディープラーニングを活用するという根幹は変わっていません。ただし、学習させるデータの選び方やモデル内部のパラメーター調整、複数モデルを組み合わせる仕組みなどは継続的に改良しています。

 同じ技術を使えば、誰でも同じ成果が出るわけではありません。試行錯誤を重ねてきた蓄積が、差につながると考えています。

――今後も、この優位性は続きそうですか。

飛田 同じような運用手法が広がれば、成績に差がつかなくなるでしょう。だからこそ、モデルの改良を続ける必要があります。

 社内にはAIや言語モデルの研究チームもあり、新しい技術を取り込みながら進化を続けていくつもりです。


◆世界株部門 優秀賞
「AI(人工知能)活用型世界株ファンド[愛称:ディープAI]」とは

AIを活用してリターンの最大化とリスク抑制の両立を目指す。運用の安定度は抜群で、2021~25年いずれの年も世界株部門で上位4割圏内。成績の悪い時期がない。AI運用というと、「AIがすべて自動で判断している」と思われがち。だが、AIも万能ではない。一つのモデルに依存するのではなく、別のソフトによるリスク調整や人間による補正も行われている。また、近年はAI活用型の運用が広がり、その中でいい運用成績を出し続けるのは難しい。約10年におよぶ長年のノウハウと、改良の積み重ねが、差を生むポイントのようだ。

本記事は2026年6月3日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。