ファンケルは中国人にも人気がある(東京都中央区のファンケル銀座スクエア)
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 ファンケルの台湾、シンガポールでの化粧品事業展開に暗雲が漂っている。ファンケル単独で両国の事業を展開していることについて、資本・業務提携先である香港のCMCホールディングスグループと係争していたが、6月下旬に国際仲裁機関がCMCの主張を認め、ファンケルの“敗訴”が確定した。仲裁は一般に訴訟の確定判決と同等の効力を持っており、影響は大きい。

 関係者によると、仲裁機関は2009年に両社間で取り交わした契約が現在も有効であるとの結論を出したという。その契約とは、CMCが独占代理店である中国・香港・マカオ以外のアジア地域で事業を展開する際は、ファンケルが40%、CMCが60%出資する合弁会社が独占的に営業するというものだ。ファンケルにとって不利な内容だが、自ら結んだ契約だけに、今回の“敗訴”は「身から出たさび」としか言いようがない。

 ファンケルは両国に約30店舗を出店している。今後は違約金などの支払いや、ファンケル単独の事業形態の見直しについて、両社で話し合って決める。負けたファンケルにとってはマイナス材料しかなく、苦渋を味わうだろう。

 CMCとの溝は深いといわれる。ただし中国などで200店舗以上を抱える有力な代理店であり、15年に控える独占代理店契約の更新についても、簡単に契約を打ち切ることはできない。台湾、シンガポール事業の処理は、契約更新がうまくいくかどうかの試金石となりそうだ。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)

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