若手の活躍と定着のために企業が留意したいこと

 企業と学生の認識のギャップの背景には、現在の大学教育の在り方が、かつてとは大きく異なっている点がある。近年の大学教育は、少子化や産業構造の変化を受けて、知識の習得だけではなく、能動的に課題を発見・解決する実践的な能力養成の方向にシフトしている。また、学生一人ひとりの関心や学習歴も多様化しているのに加え、学生が自ら計画を立てて学ぶ“主体的な授業形式”が増加している。

舘野 授業でビジネスパーソンをゲストにお迎えし、お話を聞くことも多いのですが、なぜか、多くの方が自己紹介で「私が大学生の頃は、授業にあまり出ませんでした」「バイトに明け暮れていた私と違って、皆さんは素晴らしいです」といったことをおっしゃいます。

 なぜ、そういうフレーズが異口同音で出てくるのか――私は疑問を感じます。そうした言葉を耳にして、いまの学生は「自分ももっと遊んでいいんだ」とは思わないし、「この人って、すごいな」とも思いません。

 昨今の大学は「モラトリアムの場」や「レジャーランド」ではありません。授業にきちんと出席しないと単位が取れませんし、授業以外にも学生間のグループワークなどで多くの時間を費やします。また、金銭的に余裕がある学生は一部で、多くの学生はアルバイトをしており、時間のやりくりに苦労しています。

 そのため、私と大学生複数人でミーティングの予定を立てようと思っても、なかなか予定が合いません。ビジネスパーソンと日程調整をするよりも、大変だと思うことがあります。

舘野准教授は、内定者フォローツール「フレッシャーズ・コース」(全6巻)の「トランジションの乗り切り方」も執筆している。舘野准教授は、内定者フォローツール「フレッシャーズ・コース」の「トランジションの乗り切り方」も執筆している。

 そうしたいまどきの学生が社会に出たときに、どのようなギャップを感じるのか、トランジションにどう苦労するのか――それを想像することが企業側には必要だろう。

舘野 企業に入社した卒業生が、こんなことを言っていました。

「働き始め、目の前の仕事を一生懸命にこなしていたら、あっという間に時間が過ぎていきました。仕事をどんどん覚え、自分でできるようになっていく感覚がある一方、なんとなく、辛くなってきました。それが、なぜか?を考えたときに、BLPではフィードバックという振り返りの機会があったことを思い出しました。相手にフィードバックし、自分もフィードバックしてもらい、自分の経験を意味付けられたことが大切だった、と改めて気づきました」

 いまの若い世代は自分の存在や自分が行うことに対する「意味付け」に敏感です。若手社員の活躍と定着のために、企業の管理職や先輩社員のみなさんは、「意味付け」を意識するといいでしょう。「こんな考えで、あなたにこの仕事をアサインしたんだよ」「あなたと一緒に仕事をしている○○さんが、あなたの□□なことを褒めていたよ」などとフィードバックする。それが、彼ら彼女らの納得感や成長実感につながるのです。