これからの時代、人事部門、人事担当者に期待されること
学生から社会人へのトランジションを成功させるには、企業側が、学生一人ひとりの経験や大学での学びをないがしろにしないことが肝心だ。同時に、学生側も、大学と社会(職場)が異なることを意識しなくてはいけない。
これからの時代、人事部門や人事担当者には、大学生と社会人、大学と企業の橋渡し役になることがいっそう求められていく――舘野准教授はそう指摘する。
舘野 私が日々接している学生たちは、ほぼ18歳から22歳くらいで、年齢こそ同じですが、毎年その顔ぶれは変わり、しかも、一人ひとりが日々成長していきます。また、コロナ禍を過ごした世代があったように、学生生活の環境はそれぞれの年で異なり、流行や価値観も違います。一方で、私自身は、年齢がだんだん上がっていき、学生たちとの時代感覚がずれていき、彼ら彼女らの価値観を理解することが難しくなっていきます。それでも、常に、学生たちから学び続けなくてはいけません。
「うちの会社に来るなら、これまでのことは全部捨てて!」といったスタンスでは、トランジションが失敗するでしょう。学生時代の経験や価値観が社会にそのままは通用しないので、ビジネス現場の本音としては、「白紙の状態」が望ましいのでしょうが、いまの学生は、大学での学びを通してさまざまな経験をしていますし、人生経験も積んでいます。大学で頑張ってきたという自負もあります。「そういうことを学んできたんだね」「うちでもそれを活かしてほしい」といった企業側の理解と姿勢は、大学生のポテンシャルを活かすという意味でも有効です。
学生と企業の損得抜きの交流も欠かせないでしょう。私のゼミでは、年2回のペースで、「た展(てん)」と名付けた展示会イベントを行っています。ゼミ生の一人ひとりが個人の好奇心や探究心をもとに、独自のテーマを立て、その成果を作品として発表します。作品の形式は、研究成果に加えて、絵画や動画、体験型のワークショップなど多岐にわたります。参加者は大学生や大学関係者にとどまらず、高校生や保護者のほか、企業関係者も多くいます。ビジネスパーソンと大学生が、フラットに、「仕事ってこうなんだな」「大学生ってこうなんだな」と考えていく――こうした場が、学生から社会人へのトランジションの良いきっかけになると私は思っています。










