浮き沈みが激しいゲーム業界。その真の力を見るために、5期分の財務諸表を分析。特集『50兆円をゲットだぜ!日本のゲーム』(全25回)の#2では、企業規模に加えて成長性・生産性・安全性の四つの指標から、ゲーム上場主要65社を対象にランキングした。「最強のゲーム会社」はどこ?(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
最強任天堂を上回る企業はあるか?
長期分析と4つの指標で丸分かり!
当たれば天国、外れれば地獄――。ゲーム業界を表すのにこれほどぴったりくる言葉はない。何年かかろうとも、何百億円という開発費を投じようとも、ゲームとして売れなければそのコストは回収できない。典型的なハイリスクハイリターン業種、それがゲーム業界だ。
任天堂やソニーグループなど最大手ももちろん例に漏れない。忘れられがちだが、現在は最強とうたわれる任天堂も今から10年前はWii Uの失敗により赤字転落の憂き目を見ていた。エレクトロニクス企業からすっかり「ゲーム会社」として変貌したソニーも、8年間の開発期間と300億円超ともいわれる開発費をつぎ込んで作ったライブサービスゲーム、コンコードが大失敗し、わずか2週間でサービス終了に追い込まれたばかりである。
「強いゲーム会社」はどうやって探せばいいのか。まず言えるのは、直近の決算だけを見ていてはその本質を見誤るということだ。ある程度長期間で、業績の山谷を平準化した上で、ゲーム会社として強い会社はどこだろうか。その実力を測るためのランキングを作成した。
売上高や営業利益などの損益計算書の基礎項目を、まず直近で5期分利用した。増収率や増益率なども5期分の平均を出した上で、その会社の平準的な実力を測るようにした。
ゲーム業界で上場している企業は決して多くない。ダイヤモンド編集部では、業界団体であるCESA(コンピュータエンターテインメント協会)会員社を中心に、パチンコ遊技台メーカーや開発請負企業、VR関連企業なども含めて、ゲーム事業が中核を占める会社65社をリストアップ。成長性、企業規模、生産性、安全性の四つの指標で、65社がそれぞれどの位置にいるかを配点して比較した。詳しいランキング作成方法は次ページを参照してほしい。
ちなみに、ゲーム以外の事業の割合がまだ多く、連結売上高で13兆円を超えるソニーは、他社と事業構成の状況があまりにも大きく異なり異常値となってしまうため、ランキングの対象外としている。
最強のゲーム会社はどこなのか?任天堂は?スクウェア・エニックス・ホールディングス(HD)やセガサミーホールディングス(HD)、バンダイナムコホールディングス(HD)は?ソニーからの買収交渉が進むとされるKADOKAWAの実力は?次ページからじっくり確認してほしい。