Photo:PIXTA
マンション管理を語る上でたびたび登場する単語である「合意形成」。大規模修繕から日常管理まで、区分所有者間で協議して何らかの意思決定をすることはマンション管理の基本ではあるが、実ははこれは大規模修繕や管理組合資金計画を立てるなどの専門的な知識を要する項目と同等かそれ以上に困難なのだという。連載『マンション羅針盤』の第30回では、実はないがしろにされがちな、「マンション管理の合意形成」問題についてマンション管理士が実態を解説する。(フルニール代表 中村優介)
実は簡単ではなく専門スキルも要る
マンション管理の合意形成
マンション管理に携わっていると、しばしば耳にするのが「合意形成」という言葉です。国土交通省の管理関連の各種資料やマンション管理に関する書籍にも、この言葉が何度も出てきます。長期修繕計画の策定や改定、日常管理にまつわるさまざまな決め事を総会で決定するにも、マンション管理と合意形成は切っても切れないものです。そして多くの人が口をそろえて合意形成の重要さを強調しています。
確かに合意形成は大切です。ただし、「どうやって合意形成を行うか」という具体論となると、「管理組合の運営に関心を持て」とか「区分所有者の意見を十分に反映する」、「情報の開示」「運営の透明化」などなど、はっきり言って中身のない理想論ばかりが飛び交っているのが現実です。
そもそも「関心を持つ」というのは具体的にどういうことでしょうか。お客さま気分で理事会や管理会社に講釈を垂れることでしょうか。では「意見を反映する」とは?マンション管理の知見に乏しく、自身の経験則のみに基づいた根拠のない少数意見を真に受けて採決をやめることでしょうか。さらに「情報の開示」「運営の透明化」は、暇なクレーマーの重箱の隅をつつくようなどうでもいい質問への回答書の作成に貴重な時間を割くことでしょうか。
どれもそんなことではないはずですが、残念ながら現実にはそのような運営になってしまっているマンションが多数存在します。今回は、なぜマンションの合意形成が止まるのか、合意形成を進めるにはどうすればいいのかについてお話しします。そして、あたかも簡単で精神論だけで片付くと思われがちな合意形成にこそ、実は専門的な知見が必要ということについてもお伝えしていきます。次ページから詳しく見ていきましょう。







